元々は糖尿病専門医でしたので、糖尿病中心の医院を目指していたのですが、実際に地方で開業してみると、子供から大人まで多種多様な疾患を持つ患者様にお越しいただいております。
地元の方々へ貢献できる割合が非常に大きいため、皆様に信頼されるような医院を目指しています。将来的には糖尿病にもう少し特化した医院を目指したいと思っています。
飽食の時代と高齢化の進行により、今後も糖尿病患者数は増加すると思います。特にアジア人は、食事の欧米化による脂質摂取量の増加や自動車社会における運動不足により、糖尿病になりやすいと言われています。
透析につながる腎症などの合併症は何年もかけて発症するものです。そのため、早い段階で糖尿病患者様に対する治療を行うことが、合併症の進行を抑えるのに大切だと考えています。そのためにも糖尿病患者様は定期的な通院が必要ですが、きちんと通院されていない患者様も多くいらっしゃるようです。その方々へのフォローをどのように行うか、さらに専門的な治療をどのように目指すかが今後重要になってくると思います。
血糖値は常に変動しているため、1~2ヶ月の血糖値の平均を知ることができるHbA1Cは非常に重要です。
HbA1Cを月ごとに管理することは糖尿病患者様にとってよい動機付けになると考えております。 また、HbA1C が低くても食後血糖が高い患者様もいらっしゃいますので、血糖値も同様に重要です。糖尿病診断基準にもあるように、HbA1Cと血糖は両方測定するものだと患者様に伝えています。
その場で結果が出るため1カ月に一度の受診で診断が完結し、患者様の満足度につながります。
診断結果の次回持ち越しとは、過去の検査結果で診断するということです。次回診察までに患者様の生活習慣が変わることもありますし、結果によってモチベーションの低下にもなります。
検査センターに出した方がすぐにまた来院していただけるので、医院の儲けとしてはよいかもしれませんが、患者様にとってメリットになりません。その日に患者様を診断し、医院を信頼してもらうことで、患者様に来月も来ていただけるようになります。
また、HbA1C は日々の指導に用いていますが、細かい診断基準を説明するよりは6.5%(NGSP値)を超えていると糖尿病だと定義しています。血糖にこだわる患者様も多いのですが、やはり食事摂取の状況に左右されるため、HbA1Cも重要視する必要があります。HbA1C だけを示すことで、患者様のコントロールがしやすくなります。ご存知の通り、患者様の中には糖尿病に詳しい方々もいる一方で、病気を全く理解していない方もいらっしゃいます。HbA1Cというシンプルで多数の方に受け入れられる指標があれば、患者様にとっても複雑にならず、また診断も容易にできます。
患者様の中には検査センターの数値の方が正しいと考えられる方が少なからずいらっしゃいます。
我々にはそれを否定するだけの根拠はありませんが、手法の違いでデータの差は生じますので、同じ装置・手法で測定することが重要だと伝えています。
ご紹介させていただいた長嶋先生は、その場で検査結果を伝え、1カ月に一度の受診で診断を完結することで、患者様の満足度を追求されているようです。
将来的には糖尿病にもう少し特化した医院を目指されているという方針にも合致し、クリニックの差別化や患者満足によるクリニック経営の視点からも、有効活用されていることがうかがえます。