一般的な電子カルテの導入スケジュール(企業によって若干異なります)
メーカーや企業によって若干異なるものの、電子カルテは一般的には下記のようなスケジュールで導入されます。それぞれの段階で注意すべきポイントをまとめました。
1.機種の選定(デモ)
電子カルテの選定は、忙しい勤務の合間を縫っての作業になるため、余裕を持って開業6ヶ月くらい前から始めたいところです。情報収集の手段としては、製品のホームページ、パンフレット、先輩開業医のアドバイスを聞くなどがあります。ただ、「いい電子カルテ」の基準は使う人によって異なります。開業後は毎日使うものですから、できる限りデモで実際に触れるだけでなく、複数の機種を比較しておくことが重要です。
2.契約
電子カルテの契約では、リースを活用することも選択肢のひとつです。また、各種サポートなどの保守契約も確認する必要があります。
3.導入準備
電子カルテの中枢を作りこむ作業です。ほとんどは業者側の作業ですが、使用薬剤のリスト化やテンプレートの作り込みなどで、入念な打ち合わせが必要です。ここが疎かだと開業後に追加・修正作業が発生することもあります。
4.納品・操作説明
納品時の設置場所の確認や患者情報、診療内容の入力に関する説明操作などがこのステップです。カルテを入力する医師は当然ですが、受付スタッフも操作を覚える必要があります。新規採用スタッフも、開業前月からは研修の予定が入れられるよう退職日を設定してもらったほうが良いでしょう。
5.レセプト出力
電子カルテ導入月の月末、もしくは翌月初にレセプト(診療報酬明細書)出力に関する説明が業者からあります。レセプト出力は医院の収益の根幹となる重要な作業です。ここで不明点などが残ることがないよう確認しておきましょう。
機種選定時の重要検討項目は?
電子カルテの機種選定にあたっては、実現したい診療スタイルを具体的に業者に伝え、自分の思い描くことのうち、何ができて何ができないのか、できないことについては代替手段がないかなどを検討すべきです。特に重要なポイントとして下記のような検討項目があります。
周辺機器との連携
電子カルテ単体での使用に限らず、検査機器類との連動や、会計ソフト等に必要なデータ抽出機能など、周辺機器との連携も考慮すべきです。
カスタマイズ性
入力時の省力化も診療待ち時間や医師のストレスに直結するので、テンプレート機能の活用や、キータッチの工夫を行いましょう。
セキュリティ性
患者意識の高まりや個人情報保護法の施行に伴い、社会的に電子カルテの運用には厳しい目が向けられ始めています。患者の医療情報や医院の会計情報などの保護について、常に肝に銘じておく必要があります。アンチウイルスソフトの導入や、機密データの暗号化といった対策を検討しましょう。
データ保護
最近のコンピュータは性能が飛躍的に向上していますが、機械である以上は故障することが全くないとは言えません。各メーカーもさまざまな対策を施していますが、機能を理解して診療データのバックアップを取るなど、不測の事態に備えておくことも大切です。