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開業資金

2009/02/20   資金の借入に関する注意点とは?

Q 開業にあたっての設備投資資金等の借入先にはどんなところがあるのでしょうか?また借入先にあたっての注意点などがあれば教えてください。
m3QOL君でコンシェルジュをしているRMLの安川です。

開業に当たっては多額の借入をするケースもあると思います。
土地の取得からするような場合はなおさらです。

今回は石川県で新規開業のお手伝いをしてる税理士法人ノチデ会計事務所の後出先生に聞いてみました。
後出先生は北陸で新規開業実績・医療法人化実績・医療機関クライアント数などトップクラスの会計事務所です。
安川 聡
RML株式会社
取締役 安川 聡


後出 博敏A:一口に金融機関といっても都市銀行や地方銀行、信用金庫だけでなく、日本政策金融公庫(旧国民生活金融公庫)、福祉医療機構などの公的融資、また各地域の商工会議所が支援している新規開業融資もあります。
多くの開業ケースでは福祉医療機構や日本政策金融公庫のような公的融資制度および商工会議所の支援融資などを優先して検討し、不足分を民間の銀行や信用金庫・信用組合からの融資でまかなうというケースが多いようです。

このうち、福祉医療機構については利用できる地域とそうでない地域を診療所の過不足統計で線引きしているので、前もって自院の開業地域が、融資対象に該当するかを確認する必要があります。
この条件がクリアできれば、低い金利と開業直後の一定期間の元金据え置き制度など大きなメリットを得ることができます。

日本政策金融公庫の開業融資制度は、職種を問わず広く事業の創業、開業を支援する制度であり、福祉医療機構のような融資対象地域などの制約はなく、多くの開業医の方がこの制度を利用されています。

商工会議所の行う支援融資は、あまり開業資金がかからない方むけの融資制度が多く、事業計画を提出し保証協会の認可を得ることができれば、無担保での借入ができるという形ものが多いようです。

そしてその他の不足分を民間の銀行からの融資でまかなうということになりますが、実際には上記の日本政策金融公庫や福祉医療機構の受付窓口は民間の銀行が行っていることが多く、今後の長い付き合いとなるメインバンクの選定は慎重に行っていく必要があると言えます。

次に金融機関との交渉にあたっての注意点を挙げさせていただきます。交渉をきちんとすることによって金利などの条件が変わることもあるようです。
これは既に開業をしているドクターのケースですが、融資契約見直し時に他行の融資金利状況などを把握しているだけで条件が変わったこともありました。

●借入れに関する基礎知識を身につけておきましょう。
固定金利と変動金利、元金均等、元利均等、人的担保と物的担保等の基礎知識をあらかじめ理解しておきましょう。

例えば元金均等の場合は、毎月の返済額に占める元金部分の金額を一定としているため借入が多く残っている借入当初は利息の返済額が多額になりますが、借入元金が減っていくにしたがって毎月の返済額も少なくなっていきます。一方、元利均等は毎月の返済額を均一にしていくので返済当初はその中に占める利息の割合が多くなります。


元利を合わせた返済総額は元金均等の方が少なくて済みますが当初の返済額が多くなり資金繰りや事業計画が難しくなる場合があります。元利均等は返済総額は多くなりますが事業計画は立てやすいでしょう。
この辺りは自己資金との兼ね合いも含め、どのような事業(収支)計画を立てるのかを税理士と綿密に打合せをする必要があるでしょう。

●誠実な態度で、経営姿勢を明確に
金融機関との交渉には、院長の人柄と診療所経営に向かうビジョンと熱意を理解してもらうように誠実な態度で臨みましょう。

●事業計画の提出と説明
昨今の厳しい融資情勢の中では、事業計画を提出し、事業としての将来性があることを理解してもらうことが不可欠です。
経営者として、何故その事業計画が成り立つのかの根拠が示せるようにしておく必要があります。

標榜科目の平均的な一人当たりの診療報酬
同じ診療科目のクリニックの平均的な診療報酬とレセプト枚数
開業に当たってのビジョン
患者に対しての訴求のポイント

●金融機関の選別基準
融資条件はもちろんですが、通常借入先がメインの取引銀行となるので、開業予定地の近くにあること、安全性に問題ないことなども選別基準となります。

●融資が決まるまでは、工事を実行しない。
融資の実行前に工事をはじめたとしても、実際に設備投資の融資が受けられない場合があります。また、融資は受けられても金額や金利などの条件が当初想定したものと大きくことなるケースもあります。
建設工事は勿論、医療機器の購入なども資金の裏づけができてから行いましょう。

融資決定の審査には1ヶ月から2ヶ月ほどの時間がかかることがあります。
開業までのスケジュールをしっかりと立てることが必要です。
その為には開業を決断したときから『いつ、何をしなければならないか?』が一目で分かるロードマップを作る必要があります。
開業支援の経験が豊富な税理士に依頼することで『モレやムダ』を防ぐことができるでしょう。


税理士法人ノチデ会計のご紹介ページはこちらからご覧いただけます。



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