高齢化が急速に進む中で、高齢の単身者や夫婦のみの世帯が増加しています。介護・医療と連携して高齢者を支援するサービスを提供する住宅を確保することが極めて重要である一方、高齢者向けの住宅の供給は、欧米各国に比べて立ち後れています。
このため、高齢者の居住の安定を確保することを目的として、バリアフリー構造等を有し、介護・医療と連携し高齢者を支援するサービスを提供する「サービス付き高齢者向け住宅」の登録制度を国土交通省・厚生労働省の共管制度として創設しました。
登録の基準や申請時の提出物については、都道府県知事が策定する「高齢者居住安定確保計画」において独自の基準が設けられている場合があります。
[出展]サービス付き高齢者向け住宅 情報提供システム (http://www.satsuki-jutaku.jp/)
※上記掲載資料よりエムスリーで再集計
高齢者人口は増加し続けていますが、生産人口(15歳~64歳)の減少により医療機関にとっては、今後患者数の減少がおきてくると考えられています。また、地域包括ケアシステムの構築が急務となっている中、今後医療と介護の連携はこれまで以上に重要となってくるでしょう。
特に医療機関にとって、在宅への訪問診療の基点としてサービス付き高齢者向け住宅は重要な建物となってきます。しかし、競合が増える中で勝ち残るためには、医療機関が運営するメリットのみでは難しく、今後明確な差別化が求められます。
医療機関が運営するサービス付き高齢者向け住宅は、病院から自宅には戻ることができない患者さんや独居の方への介護を行う拠点として、重要な位置づけになるでしょう。しかし、近年では空室が目立つサ高住も散見されており、また国からの補助金がいつまで交付されるか不明なためサ高住とどのようなサービスをセットで提供できるか、また補助金の出るタイミングでの事業参入が成功のポイントとなると考えます。
高齢者専用というわけではなく、通常の賃貸を併設するクリニックということも可能です。サ高住では医療と介護を連携することが可能ですが、通常の賃貸の場合は、家賃収入をベースに借入れのリスクを逓減することになります。
次回の特集では、サ高住のほか、賃貸併用クリニックの実例をご紹介します。
漫然とサ高住を計画するということではなく、今の診療との連携を考慮し、どのようなサ高住を運営すれば、双方の経営にとってプラスになるかを十分に検討してください。
サ高住という賃貸住宅の入居者に対し(介護)サービス及び医療を提供し、家賃収入だけでなく、診療報酬やサービスの報酬も得ることで、経営を安定させる必要があります。
土地を購入して計画・運営をすると、入居率がどんなに良くても土地代を回収できない可能性があります。土地は購入せず、借地か建て貸しにて運営することをおすすめします。