2016/03/24 2016年度診療報酬改定と開業医への影響
3月4日、2016年(平成28年度)診療報酬改定についての通知が出されました。今回の改定について、開業医の先生方の医院経営にどのような影響があるのか、また、今後開業を検討されている先生はどの点に注意すべきかについて、m3.com開業・経営の高橋渓介がご説明します。
2016年度診療報酬改定では、改めて、地域完結型の医療提供体制(地域包括ケアシステム)の実現に向けて、医療機関の機能分化と医歯薬連携、医療介護連携の強化に取り組む方針が示されました。開業医の先生方に関係する大きなポイントは①連携体制の構築、②主治医機能の評価、③在宅医療の再編と推進です。
大病院の外来縮小や中小病院の病棟再編に伴い、地域内における各医療機関のポジションが変わります。大規模な急性期病院は入院特化型になり、小規模な地域一般病院は予防医学や外来医療、在宅医療に注力する可能性もあり、連携体制の再構築に備えることをおすすめします。
再構築される際は、診療情報の管理や紹介状等の文書作成を効率的に行うため、電子カルテ、医療クラーク、書式テンプレート等の需要が拡大するかもしれません。
前回改定で新設された地域包括診療料について、認知症領域と小児領域で新たに診療報酬点数が新設されました。前者の認知症地域包括診療料は以前より掲げられていた認知症患者を地域で診るという視点で新設された点数です。認知症以外に1つ以上の疾患を抱えている患者が対象となり、施設基準※は地域包括診療料と同様です。
後者の小児かかりつけ診療料は、重複受診の抑制を目指して、3歳未満の患者の主治医機能を評価した点数です。
※認知症地域包括診療料を算定できる施設基準
① 時間外対応加算1の届出
② 常勤医師が2人以上
③ 在宅療養支援診療所であること
主な変更点は施設総管の新設、重症患者割合の評価、月1回の訪問診療で算定できる管理料の新設です。
施設総管はこれまでの特医総管の対象範囲を有料老人ホームやサ高住、グループホームにも拡大し、名称を改めた点数です。これまで、サ高住やグループホームを中心とした訪問診療を行っていた医療機関にとっては厳しい改定といえます。
次に重症患者の割合の評価ですが、在支診を届ける際に、重症患者割合の要件と施設総管の割合が明記されました。基準を満たせない場合、低い点数となりますので、注意が必要です。最後に月1回の訪問診療ですが、比較的重症度の低い患者や遠方の診療での算定が想定されます。
今回は、診療報酬改定の開業医への影響についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。m3.com開業・経営では医院経営や新規開業に関するどのようなご相談でも個別にご対応しておりますので、お気軽にご相談ください。