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開業支援・コンサル

2009/02/06   開業に向けて一番重要なこととは?

Q 開業に向けて取り組んでいくときに、一番重要なことは何でしょうか?
m3QOL君でコンシェルジュをしているRMLの安川です。

今回は、栃木県・群馬県・埼玉県などで新規開業のお手伝いを数多くされている浅沼経営センターの浅沼税理士に聞いてみました。
浅沼税理士は、私も困ったときには必ず指導を仰ぐ、医療機関経営のプロフェッショナルです。
開業後は奥様が縁の下の力持ちだと言われますが、今回のコラムで、実は開業前から先生を支える役割だったということが、よくわかりました。
安川 聡
RML株式会社
取締役 安川 聡


浅沼 孝男A:一番大切なことは開業に奥様が賛成し協力できるか、ということではないでしょうか。
先生は以下のようなことを考えて開業します。

・ 勤務医ではできない先生自身が目指す医療を行いたい
・ 専門性を開業医として生かしたい
・ (例えば在宅医療など)地域に根ざした医療を行いたい、などなど   

このような先生のビジョンに共感でき一緒に同じ方向に向かっていけるかがとても大切になると思います。


Q:どのような協力をすればよいのですか?

A:
こまごまとしたことは沢山ありますが、簡単に言うと先生が診療報酬の対価として提供する医療サービス・医療行為に集中できる環境を作ることです。
皆さんもご存知のように開業医の現状は決して甘いものではありません。
患者さんの要求も高まってきていますし、医療関係の雑誌やインターネットなどで患者さんも多くの情報を得ています。

このような環境の中、先生が資金繰りのことや職員さんとの人間関係のことなどに時間やエネルギーを割かなければいけないとしたらどうでしょうか?
安心して任せることができる人の存在や、問題や悩みを共有することができる人の存在により診療行為に集中することができるはずです。

   勤務医時代にはなかった大きな借入
   勤務医時代にはなかった使用人との雇用関係
   勤務医時代にはなかった帳簿、など

勤務医時代にはなかったことが沢山あります。
もっと言えば診療行為以外はすべて勤務医時代にはなかったもので、これらのほとんどは先生以外のパートナー(奥様や信頼できる事務長など)が担当することになります。

Q:私一人でこれらのことをすべてやっていくのはとても大変ですね。良い税理士と出会うためのポイントを教えてください。

A:税理士は単に税金の申告書を作るだけが仕事ではありません。
月次の数字を見て経営上のアドバイスをしたり、開業にいたるまでの様々な手続きの支援もします。
良い税理士に出会うためのポイントはいくつかありますが、最も大切なのは、複数の税理士と会って話をした上で決めるということです。
開業後は勿論、開業前の手続などでも奥様が税理士とやり取りするケースが多いと思います。奥様が気持ちよく、安心して対応できる税理士を選んでください。
業務経験や知識が豊富でもコミュニケーションが円滑に取れなければ宝の持ち腐れです。できれば医療機関を得意とする税理士を選んでください。

医療機関を得意にしているかを知るための質問の一例です。
・担当医療機関の数を尋ねる
・開業までにどのような支援をどのくらいの費用でやるのか
・診療科目の平均単価を聞いてすぐに答えられる

複数の税理士と話すことでだんだんと判断できるようになると思います。

開業にいたるまで概ね以下のようなプロセスを踏みます。
1.開業場所の選定
2.診療圏調査
3.資金計画・資金調達
4.診療所建設・医療機器の選定
5.職員の採用


概ねの開業地域が決まったらまず税理士を決めることをお勧めします。できれば開業場所や診療圏調査なども税理士と一緒に見たほうが良いでしょう。

税理士を最初に決めることで期待できることの一例。
融資の交渉も税理士が同席することで事業計画の妥当性を経験に基づいて説明できる。
過大投資を避けることができる。
例えば自宅兼クリニックの建設を検討している場合でも、自宅建築は同時に行うのではなく事業が軌道に乗ってきてからゆっくりと考える、というのも一つの選択肢です。
また、同時に建設をする場合でも自宅部分は極力小さくしておき、将来、事業が順調なら職員の休憩室として使うなどと考えることもできます。
事業が軌道に乗れば後から足すことはいくらでもできますが、過大投資が資金繰りに悪影響を及ぼすようになっては取り返しがつきません。
税理士によっては採用面接に同席することもあります。
先生や奥様にとっては初めての採用面接です。履歴書のどこを見ればよいのか?どのような質問をすればよいのか?採用の基準は?など分からないことだらけです。
頻繁にあるわけではありませんが、税理士が担当している別のクリニックを辞めて応募してくるようなケースも履歴書を見ればすぐに分かります。

奥様の協力を得て、良い税理士にめぐり合い開業を成功させてください。

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