2013/04/25 介護事業の戦略シナリオ
第 1 回は、医院経営のコンサルティングで 16 年の歴史を持つ、株式会社日本医業総研のシニアマネジャー 植村智之氏に、現場の変化と診療所経営の方向性についてうかがいました。
第 2 回では、第 1 回でご紹介した診療所経営の戦略パターンから、介護事業を展開する戦略シナリオについてご紹介してまいります。
長期的な経営環境では、高齢者の医療ニーズが 2025 年まで高まり、病床数はますます足りなくなり、病院からでた患者が在宅、もしくは介護施設へむかう流れへと加速していくことは、みなさんがご認識されていることと思います。そのため、診療所経営でも、制度的誘導の流れをつかみ、在宅・介護の両輪をどのように組みあわせていくかは重要なポイントです。 介護事業の展開について、「興味はあるものの情報不足で実態がわからない」 といったお話を先生からいただくことがあります。おそらく、部分の情報ばかりで、実行していくストーリーが把握できていないためではないかと思われますので、介護事業の展開パターンについてご説明してまいります。
[介護事業] をはじめる前提として、[外来] をしっかりと形にすること、また在宅専門は [在宅] のみで形にすることが必要です。
介護事業には経営力、人事・労務を主としたマネジメントが必要になるため、足もとが固まらずに事業展開をすると失敗するからです。「開業時に同時にはじめる」 または 「自院の集患状況の改善のためにはじめる」 といった場合も、よい結果は得られません。
ここでは、「自院の運営基盤がしっかりと構築されている」 という前提でお話をすすめます。
介護事業の展開は、おおよそ以下のような流れで進めていくのがよいでしょう。
これらを 5~8 年ぐらいで形にしていくというのが介護事業への展開シナリオです。
コンパクトな商圏範囲で、地場の患者の一生をサポートしていくという体制を作っていきます。
成功の最重要ポイントは3つだと考えています。
[戦略的展開シナリオ] とは、外部環境の変化に対して自院の方向性を定め、リスクを最小限にして積極的に事業展開を進めていく設計図です。まずはこの設計図がないことには、なにもはじまりません。
[戦略的展開シナリオ] を実現化するために、ポイント (2) は非常に重要なポイントです。
介護事業の積極的な展開には、経営力が必要な規模となり、人材力やマネジメント力が問われます。 先生の考え方や診療スタイルを理解し、右腕となる人材が必要不可欠となります。人材の採用、育成、運用形態をシステム化していくことなど、組織化し、人事・労務のマネジメントは成功に欠かせません。
ポイント (3) は、自院のサービス業化です。
介護事業の展開だけに限らず、全ての診療所経営に重要なことです。
最高の集患対策は、「患者への接遇」「スタッフのモチベーション」「待ち時間」「駐車場」「診療時間」 などの 「患者不満をいかに減らせるか」 だからです。
以上の 3 つのポイントがしっかりと形にできれば、先行者は市場をおさえることができるでしょう。
積極的に介護事業を展開したい先生がたの一助になれば幸いと存じます。
まとめ
2012 年度の同時改定から 1 年がたち、介護事業への取り組みが強化されています。
一方で実際にチャレンジしていくには資金面やマンパワーなど、ハードルは高いというのも事実のようです。
今後、積極的に介護事業を進めていく先生が増え、成功した事例が増えていくことで、さらに活性化されていくのかもしれません。そのためには、成功のポイントをしっかりとつかみ、的を外さずに実行していくことが不可欠のようです。
<取材協力> 株式会社日本医業総研 シニアマネジャー 植村智之 氏
第一講 経営戦略集中講座 | 東京会場 : 2013 年 5 月 19 日 (日) | 大阪会場 : 2013 年 5 月 12 日 (日) |
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