2013/04/18 診療所経営の方向性
厚生労働省が、「平成 37 年 (2025 年) にあるべき医療のイメージを見すえての第一歩」 と位置づけた 2012 年度の同時改定から約 1 年。
報酬改定後の診療所経営は、どのような変化を見せているのでしょう?
また、今後どのように変化をしていくのでしょう?
本特集では、インタビューと先生がたへのアンケートをもとに、診療所経営に対する今後の方向性や意識を探っていきます。
第 1 回は、医院経営のコンサルティングで 16 年の歴史を持つ、株式会社日本医業総研のシニアマネジャ 植村智之氏に、現場の変化と診療所経営の方向性についてうかがいました。
今にはじまったことではなく、診療報酬が縮小していく傾向はみなさんが認識していることだと思います。 「今改定で重要なポイントはなにか?」、一番は制度的な誘導の流れを、経営視点でどのように考えていくかではないでしょうか。
長期で経営環境をみると、高齢者の医療ニーズは 2025 年まで高まり、病床数はますます足りなくなります。 病院から出た患者が在宅もしくは介護施設へ向かう流れは、どんどん加速していきます。 診療所経営においても、制度的誘導の流れをつかみ、在宅・介護の両輪をどのように組みあわせていくかは重要なポイントです。
現時点では、時間やマンパワーの問題、看護師の採用難などで、積極的に在宅医療を進めている診療所は多くない印象ですが、外来のみの診療所でも、在宅に取り組むことを検討している診療所は増えています。
介護事業への興味や相談も、現場レベルでは増えていることを実感しています。
今後、在宅医療の強化や、医療法人がサ高住や介護施設などの展開を進めていくケースは、間違いなく増えていくでしょうし、積極的に展開をしていく診療所が地場の医療ニーズ (市場) を先におさえ、今後ものびていく可能性が高いでしょう。
その一方、外来のみの経営方針を持つ診療所でも変化がみられます。
自院の強みや特徴を活かし、コンセプトを強化する方向性です。
患者満足度を追求した診療所づくりや、ご自身の専門性をいかした診療スタイルにより、患者あたりの単価をあげていくなど、コンセプトを持ってのばしていくというスタイルです。
今改定から 1 年がたち、間違いなく言えることは、自院をどのように変化させていくのかを問われている時期だということです。 方向性を定め、積極的に実行できる診療所経営者には、患者のニーズと市場をおさえるチャンスの時期になるのではないでしょうか。
第一講 経営戦略集中講座 東京会場 : 2013 年 5 月 19 日 (日) / 大阪会場 : 2013 年 5 月 12 日 (日)
第二講 資金計画集中講座 東京会場 : 2013 年 6 月 23 日 (日) / 大阪会場 : 2013 年 6 月 9 日 (日)
まとめ
2012 年度の同時改定から約 1 年がたち、診療所経営に劇的な変化ではないものの、少しずつ変化のきざしがみられるようです。
制度の大きな方向性より、在宅や介護事業に積極的に取り組む方向もあれば、自院の強みをしっかりと把握し、前面に表現していく方向などさまざまです。
いずれにせよ、診療報酬改定という環境の変化に対し、自院の方向性を持ち、いち早く形にしていく診療所が、地場の患者から支持をえていくことは間違いなさそうです。
<取材協力> 株式会社日本医業総研 シニアマネジャー 植村智之 氏
次回は、介護事業の具体的な展開シナリオについて、インタビューをもとにご紹介してまいります。
2013 年 4 月 25 日 (木) 掲載予定です、どうぞお楽しみに!