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経営情報

2012/07/01   失敗から学ぶ自費診療の導入と経営

「自由診療に特化した患者様管理システム」プロ・フィールド「自由診療導入成功事例」 エスエス・ファシリティーズ
失敗から学ぶ「自費診療の導入と経営」

医業経営は時代的に大きな転換点に立っています。
少子高齢化に伴って医療報酬は減少している一方で、開業件数は年々のびを見せています。くわえて不景気による時代的な影響もあり、医業は激しい競争の時代に突入しました。今回は「自費診療」をキーワードにした典型的なパターンとよくある事例を見ていただきながら、私たちが経験したいくつかの試みをご紹介します。

Case1 自費診療導入での典型的な「ネガティブスパイラル」
収支に関する表

大学病院への8年の勤務を経た後に150床ほどの地方病院で「皮膚科、内科」の知識を5年間取得して地元での開業を決意。保険診療の経験豊富な税理士に経営の相談を依頼していたが、2年目に突入しても当初予測していた患者数が確保できず、思うように売り上げがあがらない状態が続いた。

税理士からの改善提案は、借り入れの増額とそれにあわせた設備投資。設備に関しては、診療報酬を増加させるために、自費診療の医療機器をリースにて購入。

しかし、設備投資をおこない、既存患者に拡販を狙うも、思うように自費収入がのびず。半年後に、スタッフ1名のリストラとコストカットをおこなうものの経営が好転せず。借り入れが大きくできていたため、経営の継続は可能だったが、将来の展開が見えなかったため、3年半目に閉院をおこない院長は病院勤務へと戻られた。

 
ポイント1:投資計画は慎重に

イラスト売り上げをあげるために設備投資は必要な時があります。医療機器や内装に投資をおこない、売り上げを拡大させることは重要な考えかたです。
しかし、計画が杜撰であると経費負担が大きくなり経営を圧迫してしまい、このように閉院という最悪の結果を招く引き金になってしまいます。
今回のケースではドクターは、税理士からの助言により、設備投資に自費診療の売り上げをあげようと機器を選択しました。
ここまでは問題のない展開でしたが、導入した機器とニーズがマッチせず、売り上げをあげることができませんでした。

 

たとえば、
・皮膚科とアンチエイジング治療(しみ・しわ治療)
・内科とサプリメントや点滴療法などの組み合わせ
・婦人科と妊娠線の改善や産後の皮膚のひきしめ治療

このように本業と親和性の高い分野を丁寧に洗い出したうえで、投資計画を実行することが成功へのターニングポイントとなります。

ポイント2:リストラは最終手段

売り上げが思うようにあがっていない場合、コストカットして損益分岐を下げることで急いで利益確定を選ばれる経営者は多いようです。

イラストしかし安易に人員をカットすることは患者を回せなくなることを意味しますし、無理に受け入れたとしても待ち時間の長さがクレームにつながる恐れがあります。

件の収支表を見ると売り上げに対する家賃が高い比率を占めている一方で人件費が少なすぎます。実際に、内部では1人の看護師で3つの処置室を回しきれずに「スペースあまり」の状況を起こしており、日の客数は目標90名に対して40名にまで落ち込んでいました。

「スペースあまり」の状況を改善して仮にもう1部屋を回転させるとなると、少なくとも非常勤看護師×1と非常勤受付×1の再雇用、さらに現在の1.7~2倍の患者を新たに取り込む必要があります。

収支に合わせて損益分岐を下げるなら早々に縮小移転を計画しなければいけませんし、それが難しいのであればこの家賃で利益をあげにいく人員体制を作らなければいけません。

コストカットそのものは必要ですが、それがはたしてどの目標に向かっているのかを常に意識する必要があります。収支に対して経費を削減して利益を出すのではなく、目標売上に対して必要な予算を洗い出す経営体質に変えなければいけません。

 
ポイント3:1年目の予算計画が経営安定の近道となる

イラスト医業の集客方法は駅看板と電話帳掲載で間に合っていた時代とは異なり、患者から選ばれる時代に突入しています。特にインターネットの登場以降は、クリニック側からこまめに情報を開示し続けていく努力をおこなうために、一般企業と同じく集客用の「販管費」を検討する必要があります。
医業経験の豊富な税理士でも、近年の目まぐるしい時代転換の中で集客用の予算が抜け落ちてしまうことは珍しくありませんが、私たちの経験では、最短で軌道に乗せる最大のポイントは、集客開始から1年間の集客戦略と言っても過言ではありません。特にスタート時の販間費については確実に計画立てておきたいところです。

 
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再建プラン

再建においては、【1無駄な支出を減少させ黒字化させる】 【2売り上げをあげ利益を増やし黒字化させる】 または【3(1)と(2)の2つを同時に実行する 】というプランがあります。

診療所や小規模病院の場合、【1】だけで再建が成功することはほぼありません。
やはり再建のポイントは売り上げをあげることになります。しかし保険診療では現実的に限界があります。そこで我々は安定した医院経営のために「自費診療」の導入をおこない、結果をだしていくことで【3】を確実に実現していくことをおすすめしています。

自費診療の導入をしっかりとおこなった場合は、自費診療での収入で300万円~500万円UPを達成することも可能です。

ただし、計画を立てずに導入しても、先述のケースのように固定費だけが増額してしまい、経営のマイナス要素になってしまうことがあります。
そのためには、まずはじめに資金繰りと予算状況を確認して再建までのスケジュールを引き、人員計画を立てて、同時にメニューの見直しをおこないます。

収支に関する表

個別な状況(既存の患者さま、医師のスキル・人柄・稼働率、立地、競合状況、投資)などからリスクを低減し、確実に売り上げをあげる計画を立てることが重要。

最終的には、保険収入とのバランスを見ながら徐々にメニュー構成を変えていき、客単価の向上と利益率のアップをはかる。

18か月目を目安に売り上げを安定化させ、最終的にコストカットをおこない利益率を高めるか、さらに拡大計画を立てていくか、目標の再設定をおこなう。

全体の計画から自費診療をしっかりとした形で導入し、確実に利益を出せる体制を構築し、安定した医院経営を実現します。

 
注目すべき自費診療の導入リスク
Case2 自費用の機器を購入したが…

本来自費診療は投資効率のよいものです。たとえば開業一式であれば自費の初期投資は保険の半分以下ですみ、機器の回収期間は平均4年、最短1年弱です。業者選定の段階から情報収集をおこない、導入後は適正な予算を組んで常に償却状況をチェックしましょう。

Case3 自分なりに導入をしてみたのだが…

一口に自費と言っても種類はさまざまです。人員、スペース、立地、診療科目を考慮して初期段階から無理なく組みあげれば負担となることはありません。導入で成功しているクリニックは顧客ニーズを踏まえたうえで、院内状況を考慮し、施術メニュー(例:注射や点滴、サプリメントや短時間の手技など)を構成されています。

Case4 客単価があがらずに困っている…

客単価向上への最短の道はスタッフの接遇、サービスを向上させて丁寧に各施術の利点を説明することです。また、市街地と郊外との客単価に差はほとんど発生せず、むしろ市街地の方が価格競争がある分、やや低いくらいだとお考えください。無理なく現実的なラインとしては施術によって異なりますがスタッフ教育と補強によって客単価1.2~2万程度が一般的です。

Case5 集客が出来ていない…

PR用の販管費は一定の予算は必要ですが、決して費用をかければよいというものでもありません。まずは既存の患者さまにいかに効果的に告知していくかを検討されることをおすすめします。自費導入の告知用の内覧会や、機器体験会を定期的に開催し、近隣住民に情報を発信し続けることで費用をかけずにかなりの新規顧客を取り込むことが可能です。

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田中 裕太株式会社エスエスファシリティーズ
クリニックコンサルティングチーム
シニアコンサルタント

田中 裕太

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