2011/02/25 休日・休暇、代休、有給休暇のルール
2011年2月2日 菅原 由紀(川口社労士法人・社会保険労務士)
ポイント
休日とは、労働契約において労働義務のない日を言い、原則として暦日(午前0時から午後12時まで)の休みを指します。休暇とは、休日とは違い労働契約において労働義務のある日に、職員がその労働提供義務を免れる休みです。休日と休暇の違いを理解し、医療機関の実態に合った休日と休暇制度を導入することが大切です。
休日とは
休日とは労働提供義務のない日を言います。使用者は毎週少なくとも1日の休日または4週4日の休日を与えなければなりません(労基法第35条)。この最低基準の休日を「法定休日」、法定休日以外の休日を「法定外休日」と言います。法定休日は、いつにしなければならないという決まりはありません。ただし、法定休日と法定外休日とを区分するため、日曜日を法定休日、それ以外の土曜・祝祭日の休日を法定外休日とする医院も多く見受けられます。
休日の振替と代休
休日の振替とは、休日を労働日に振り替えることです。例えば日曜日(休日)と水曜日(労働日)を振り替えた場合、日曜日が通常の労働日となり、水曜日が休日となります。休日の振替を行うには、就業規則等に振替の規定を定めることと、振替日を指定することが必要です。この場合、日曜日は通常の労働日なので、割増賃金は必要ありません。
一方、代休とは、休日労働をさせた後で、その休日労働の代わりに通常の労働日に労働を免除することをいいます。この場合、働いたのはあくまで休日ですから、割増賃金の支払いが必要です。
休暇とは
休暇とは、休日とは違い労働契約上の労働日について、その労働提供義務を免れる制度です。休暇には、法律で定められた「法定休暇」と、使用者が恩恵的に就業規則等で定めた「法定外休暇」があります。従って、「法定外休暇」について、対象者や付与要件、有給か無給かは、使用者が独自に定めることができます。
【休暇の種類】
休 暇 |
法定休暇 | 年次有給休暇(労基法第39条) |
産前産後休業(労基法第65条) | ||
生理休暇(労基法第68条) | ||
育児休業・介護休業(育児・介護休業法第2条) | ||
法定外休暇 | 夏季休暇、慶弔休暇、リフレッシュ休暇など |
年次有給休暇の規定
使用者は、職員に対して毎年決められた日数の有給休暇を与えなければなりません。年次有給休暇は、雇い入れ日から6カ月継続勤務し、所定労働日の8割以上出勤した者に対して、最初は10日与えられます。その後、1年ごとの勤務年数に応じて8割以上出勤する条件を満たせば、雇用形態に関らず(パートタイマー・アルバイトも含みます)、条件を満たした職員に対して所定の日数が与えられます。
出勤率の計算に当たっては、年次有給休暇の取得日、産前・産後休業、育児・介護休業期間、業務上の負傷または傷病のため休業した期間は、出勤したものとみなします。また遅刻・早退した日でも1日出勤したものとされます。
【年次有給休暇の付与日数】
■週所定労働日数が4日以下または週所定労働時間が30時間未満の職員
勤続年数別区分 |
6カ月 | 1年 6カ月 |
2年 6カ月 |
3年 6カ月 |
4年 6カ月 |
5年 6カ月 |
6年 6カ月以上 |
区分別付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
■週所定労働日数が4日以下または週所定労働時間が30時間未満の職員
週所定 労働日数 |
1年間の所定労働日数 | 6ヵ月 | 1年 6ヵ月 |
2年 6ヵ月 |
3年 6ヵ月 |
4年 6ヵ月 |
5年 6ヵ月 |
6年6ヵ月以上 |
4日 |
169-216日 |
7日 |
8日 |
9日 |
10日 |
12日 |
13日 |
15日 |
3日 |
121-168日 |
5日 |
6日 |
6日 |
8日 |
9日 |
10日 |
11日 |
2日 |
73-120日 |
3日 |
4日 |
4日 |
5日 |
6日 |
6日 |
7日 |
1日 |
48-72日 |
1日 |
2日 |
2日 |
2日 |
3日 |
3日 |
3日 |
年次有給休暇は1日単位が原則ですが、半日単位で与えることは通達により認められています。また2010年4月1日より改正労働規準法が施行され、労使協定によって1年に5日を限度として時間単位の年次有給休暇を付与することができるようになりました。年次有給休暇は、職員が請求した時期や日数を与えることが原則ですが、医院の正常な運営を妨げる場合、院長先生は職員が申し出た時季を変更することができます。
年次有給休暇を取る権利は、2年で時効によって消滅します。また、年次有給休暇の買い上げは法律違反です。ただし、(1)法律で定められている以上の有給休暇が与えられていてその超過した日数、(2)時効となった日数、の場合には認められています。