2015/09/10 増患につながる診療予約システムとは
パソコンやスマートフォンの普及に伴い、患者さんの利便性や満足度の向上、医院運営の効率化を目的としたオンライン診療予約システムが浸透しています。 現在では20以上のサービスが販売されているこれらのシステムの特徴や、導入した医院の集患・増患への影響など実際の事例を交えてご紹介いたします。
診療予約システムは、「時間予約」「順番予約」の2種類に大きく分かれます。それぞれにメリットとデメリットがあり、両機能を併せ持つ「複合」システムも増えています。
導入が先行している診療科目は小児科や耳鼻咽喉科、皮膚科ですが、一日の来患数や、先生の診療スタイルを考慮し、どのタイプが適しているのか検討する必要があります。
また現在のお使いの電子カルテと連携が可能か、先生やスタッフが使いこなせるかもポイントとなります。
時間予約は、患者さんが診察を受ける時間をオンライン上で事前に予約できるシステムです。患者さん1人あたりの診療時間が計算できる診療科目に適しており、予防接種に有効活用されている事例もあります。一方で、診療時間にばらつきがある場合、予約した患者さんが遅れて来院された場合は、せっかく予約した患者さんを待たせてしまうため不満につながります。
順番予約は、受付の発券機で番号札を発券したり、オンライン上で現在の診察状況(順番)を確認できるシステムです。患者さんは自分の順番が近くなってから来院するため、院内感染の防止や待ち時間の短縮によって患者満足につながります。デメリットとしては、短時間に患者さんが集中する医院では、一瞬で順番が埋まってしまう一方で、時間帯によっては空いているなど来院患者数にばらつきが出ます。
現在20社以上がサービスを展開していますが、初期導入費用は各社で差があり、数千円から数十万となっています。
月額費用は10,000円~20,000台が主流ですが、電話予約が付属するなど多機能になるほど高価となっています。
中には病院情報・検索サイトと連携して予約に誘導することで新患が見込めるサービスもあります。
東邦薬品/初診受付サービス
アイチケット/iTICKET Cloud
(アイチケット クラウド)
外来で来られる患者さんは、診療までの待ち時間にどのくらい不満をもっていらっしゃるのでしょうか?
2015年9月8日に発表されたばかりの最新の受療行動調査では、27.4%の方が不満があると回答しました。
診療予約システムの導入状況について開業医の先生にアンケートを実施しました。 2015年9月4日~6日 n=94
診療予約システムの導入状況について、何らかの診療予約システムを導入している先生は22%にとどまりました。タイプ別には電話予約などを含むその他の診療予約システムが最も多く、次いで時間予約、順番予約、複合タイプとなりました。
診療予約システムを導入済みの先生に集患・増患に貢献しているか伺ったところ、67%の先生が、貢献していると回答しました。
調査結果をみると、診療予約システムを導入されている先生は全体の2割程度ですが、
このうち7割近くの先生は増患・集患効果を実感していらっしゃいました。
これらのシステムはランニングコストがかかるものであり、実際に運用してみないと分からないというのが本音のようです。
そこで、今回は当初導入したシステムから異なるタイプのシステムに変更され、増患に繋げられた先生の事例をご紹介いたします。
Q.診療予約システムの導入を検討されたきっかけは?
A.クリニックの運用を改善し、患者離れに歯止めを
かけたかった!
もともと、時間帯予約システムを採用していましたが、当院の診察スタイルとは相性が合わず、稼働していたのはインフルエンザワクチン接種の予約時くらい。診療では予約システムを使わずに時間帯予約制を採用していましたが、症状により診察時間は変動しますし、予約時間と実際の診察時間のずれは大きくなる一方。
患者さまからのクレームも増えていき、次第にスタッフの疲弊に拍車が掛かっていきました。また、私は私で患者さまの待ち状況を把握できず、診療ペースのコントロールが悩みの種となっていったのです。
こうした運用側の問題に加え、近隣に小児科が増えたことなどの要因が重なり、患者離れが目立つようになりました。まずは、クリニックの運用を改善し患者の不満を軽減しよう!そう思って、診療予約システムの導入を決めました。
Q.患者さまからの反応はいかがですか?
A.待ち時間に関するクレームが一切なくなりました
「わざわざ病院に行かなくても予約ができ、診察状況も外から分かるのでかかりやすい」と、好評です。これまでは、待ち時間が読めなかったので「ちょっとした風邪程度では受診を控えていた」 というお母さまも「今は順番に近付いたら向かえば良いので安心して受診できる」と、おっしゃっています。こうした口コミが次第に広がり、他院に移ってしまった患者さまも戻りつつあります。
また、導入前は「時間帯予約」「診察状況の表示がない」「急患等が入って診察が遅れることが多い」などの原因から、予約時間を過ぎているのに呼ばれないというクレームが非常に多かったのですが、こうしたクレームが一切なくなりました。
これは、スタッフ一同、最も評価すべき導入効果と捉えています。診察室でも待ち人数を把握できるので、診療ペースを容易にコントロールできるようになったのも大きな変化ですね。
Q.導入後、患者数はどのように推移しましたか?
A.税理士も驚くほどの導入効果
2013年3月に導入したところ、2014年3月~8月は前年比平均109%。8月は前年比の116%にまで回復しました。
「混雑する冬の時期でも待ちやすかった」「かかりつけやすくなった」という口コミが広がったことで、待つのが嫌で来院を敬遠していた患者さまが、ちゃんと来院してくれるようになったのだと思います。導入からわずか 1 年でこれだけ効果があるとは、税理士も大変驚いていましたね。
東邦薬品/初診受付サービス
アイチケット/iTICKET Cloud
(アイチケット クラウド)
今回はオンライン診療予約システムについてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
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