医院継承FAQシリーズ
手取り額比較(法人)について教えてください
医療法人のクリニックを継承される際、税金などを考慮すると実際の手取り額はどの程度になるのか、具体例を用いてご説明させていただきます。
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エムスリー株式会社医院継承グループの鳥海と申します。
手取額の計算に入る前に、出資持分譲渡の譲渡スキームに関して簡単にご説明できればと思います。

出資持分譲渡の場合、売主の先生から医療法人出資持分を買い手の先生に譲渡いたします。譲渡対価は純資産に営業権、つまり対象クリニックが将来生むであろう利益を数値化したもの、を加えて算出します。買主の先生から売主の先生に対し支払う際は、出資持分対価と役員退職慰労金に分けて支払う形を取ります。
譲渡スキームの詳細については、「譲渡スキームについて」という別動画をご覧になっていただけますと幸いです。
手取り額は院長報酬+出資持分の譲渡所得+役員退職慰労金
では、実際に出資持分譲渡を行った場合の手取額について計算をしていきたいと思います。

まず譲渡を行った年度の給与所得に、譲渡所得、つまり出資持分対価から出資持分簿価を引いた金額と役員退職慰労金を加えます。 そこから所得税等を差し引いた金額が売主先生の手取額となりますが、「譲渡年度の所得」は総合課税、「譲渡所得」及び「役員退職慰労金」はそれぞれ分離課税で計算します。
では実際に具体例を用いて手取り額を計算していきます。

まず譲渡年度12カ月分の売上高を1億円とします。そこから原価、販管費等を差し引いた3000万が1年間の所得金額となり、そこから所得税などを差し引いた金額、1835万6000円が院長報酬分の手取り金額となります。
続いて左中央の図が譲渡所得に関してです。出資持分対価3000万円から、出資持分簿価1000万円とした場合、差し引いた金額2000万円が譲渡所得となり、ここから所得税等を差し引いた金額1591万6000円が譲渡所得分の手取り金額となります。
最後に左下の図が役員退職慰労金に関してです。役員退職慰労金を1億2200万円とし、役員として5年1カ月以上勤務しているとした場合、約2分の1である5900万円が退職所得としての課税対象となります。仮に勤続年数を10年間とした場合、所得税などは2765万4000円となり、残りの3134万6000円と非課税分6300万円を足し合わせた9434万6000円が役員退職慰労金分の手取り金額となります。よって最終的な合計手取り金額は、1億2861万8000円となります。出資持分譲渡の手取額に関するご説明は以上となります。
他の動画では事業譲渡の手取額に関してもご説明しておりますので、そちらもあわせてご覧ください。今回ご紹介した金額などはあくまで一例です。ご自身の実際の手取り額につきましては、弊社コンサルタントまでお気軽にご相談ください。