医院継承FAQシリーズ
廃業と継承の違い について
クリニックにある資産(医療機器・内装など)と税務上の留意点について、廃業と継承でどのような違いが生まれるのか比較していきます。
廃業したときの原状回復には数百万〜1000万円かかる
エムスリー株式会社医院継承グループの星澤と申します。
今回は、継承・廃業をしたときの、資産、税務についてご説明します。まず資産に関する継承①、廃業②についてです。

継承時、クリニックにある医療機器や設備等の資産は帳簿上の価格(簿価)にて計算され、譲渡価格の一部として評価されます。減価償却において継承で引き継いだ資産の耐用年数はそのまま引き継ぎ、資産の購入費用を使用可能期間にわたって、分割して費用計上することができます。
廃業をされる場合、資産等を中古売却されるケースがございます。しかし、機器の使用年数や状態によってはかえって処分費用の方が大きくなることもございます。 また、賃貸の場合は原状回復費用が発生します。医院の内装を取り壊し、スケルトンの状態に戻す必要があり、その費用は、物件により数百万から1000万円前後発生することもございます。その他、負債にあたるリース債務弁済費用、借入金返済も廃院時に必要となります。
譲渡益の課税時期には注意したい
続いて税務に関する継承③、廃業④の違いについてご説明します。
個人クリニックを事業譲渡した場合は、譲渡益は給与所得や事業所得と合算して税金を計算する「総合課税」となります。譲渡する時期により課税額が大きく変わることもあり、譲渡のタイミングに注意する必要があります。
医療法人の出資持分を譲渡した場合は、出資持分譲渡額から設立時出資金と必要経費を差し引いた譲渡益に対して課税されます。
廃業時の固定資産税についてはその年の1月1日の時点での所有者が払うことになっています。例えば、2023年に廃業した場合、同年1月1日の時点で土地、建物の所有者が1年分の固定資産税を支払わなければなりません。
廃業にあたって、借入金などすべての清算後、固定資産税を支払う義務が生じる可能性が高いので固定資産税のことも想定して、廃業を進めていく必要があります。
継承は患者さん・従業員さん・院長先生ご自身とご家族さまに喜んでいただける選択肢です。
しかし継承のご相談をいただいてから、完了するまでには2年近くかかると言われております。早いうちにリタイアメントプランをお考えいただくことが大切です。これまで地域医療を支えてこられた院長先生のハッピーリタイアのお手伝いができれば幸いです。
まずはお気軽にご相談ください。