医院継承FAQシリーズ
契約書関連(NDA、DA) について教えてください
秘密保持契約書・基本合意書・最終契約書といった医院継承における主な契約書について、その目的なども含めご説明させていただきます。
医院継承の流れを確認
エムスリー株式会社医院継承グループの横田と申します。
下図は、医院継承の全体像を表した図になります。今回はご相談から譲渡実行までにご締結いただく契約について、順を追ってご説明いたします。

譲渡検討が外部に漏れるとリスクになる
まずは、秘密保持契約についてです。
秘密保持契約は、情報が外部に漏れるリスクを防ぐため、当社と候補者間で締結します。譲渡を検討している事実が外部に漏れると、どのようなリスクがあるのでしょうか。売り手が医院の譲渡を考えていることが、外部に知られると以下のような反応が起こる可能性があります。

このような大きなリスクを負うことになりかねません。
また、開示書類には医療法人であれば決算書、個人事業であれば確定申告書、その他、従業員の個人情報や取引先との契約内容等、機密性の高い情報が多く含まれています。
基本合意章には排他的交渉権が付与されている
続きまして基本合意書です。

本契約は候補者の先生がクリニックを継承したい旨の意思表明をされた後、両先生間でご締結いただきます。交渉を開始するにあたり、譲渡価格やスケジュールなどの前提条件をすり合わせます。また、本契約は排他的交渉権が付与されているため、締結後は、他の候補者様とのやりとりはできなくなり、当社のHPからも案件を削除いたします。 本契約は双方の意思表明の後、締結いたしますので、ブレイクする可能性は低いですが、基本的には法的拘束力がございませんので、注意が必要です。
最終契約の主要内容は3点
最後に最終契約の締結についてご説明いたします。

買収監査を通して最終調整を行った後に締結する契約になります。最終契約は法的拘束力を伴います。また、保証や譲渡前後の義務を定める文言が記載されます。主な内容は3点です。
- 諸条件の確定
- 責任区分の明確化
- 譲渡後の支援について
契約締結後、後継者様は退職交渉を開始いたしますので、契約日の数カ月後に譲渡を実行するケースが大半です。その間に前提条件の変更があった際に、対応ができるよう文言を定めておきます。
譲渡後の損害について、譲渡側の先生の責任範囲を限定いたします。譲渡日以前の簿外債務や税務リスク、法令違反などに起因して、譲渡日以降に後継者様が被った損害に対して、譲渡側の先生が責任を負う旨の文言を明記します。
患者様の引き継ぎを前提に医院譲渡が行われるため、譲渡側の先生の協力が重要になります。 引継ぎ期間や内容、報酬についても最終契約書にて定める必要がございます。売り手側の先生は何カ月非常勤として残るのか、月額報酬か1コマ当たりの報酬かなど、話し合いにて決めていくことになります。最終契約書締結後、引き継ぎ等の準備を随時始めていただき実際の譲渡日を迎えることになります。
さまざまな契約がございますが、安全かつ適切に継承を進めるためにいずれも重要となります。エムスリーではこれらの契約についても、ドラフトの作成からご締結まで支援を行っております。安心してご相談ください。