理想の引退を実現するために知っておくべきこと 
はじめに:多くの開業医が抱える「引退」への漠然とした不安
長年にわたり地域医療に貢献されてきた開業医の先生方にとって、「引退」は避けて通れない大きなテーマです。しかし、いつ、どのように引退するのか、その後の人生をどう設計するのか、具体的なイメージを持てずに漠然とした不安を抱えている先生も少なくありません。
「まだ先のことだ」と思っていても、ある日突然、体調の変化やご家族の事情などで引退を考えざるを得なくなる可能性もあります。そうなってから慌てて準備を始めても、理想の形で引退することは難しくなるでしょう。
本記事では、開業医の先生方が理想の引退を実現するために、平均引退年齢の実情、引退時に直面する可能性のある課題、そしてそれらを解決するための「医院継承」という選択肢について、詳しく解説していきます。
1. 開業医の「平均引退年齢」と高齢化の現状
まず、多くの先生方が気になるであろう「平均引退年齢」について見ていきましょう。残念ながら、開業医全体の明確な「引退平均年齢」に関する公的な統計データは限られています。しかし、いくつかの調査やデータから、その実情を推測することができます。
診療所医師の年齢構成から見る高齢化
厚生労働省の「平成30年医師、歯科医師、薬剤師統計」によると、**診療所医師の年齢構成は60代が35%、70代以上が21%**を占めており、**60歳以上の医師が全体の過半数(約56%)**にのぼることが示されています。このデータからも、開業医の高齢化が進行している現状がうかがえます。多くの先生方が60代、70代になっても現役で診療を続けていらっしゃるということです。
リタイアを検討し始めるきっかけ
エムスリーの調査では、多くの開業医の先生方がリタイアを考えるきっかけとして、以下のような点を挙げています:
- 病気や高齢により診療を続けることが困難になった
- 労務や総務から離れて診療に集中したい
- 家族との時間を増やしたい、旅行にいきたい
- 別の土地でも開業をしたくなった
これらのきっかけの中には、年齢に関わらないものもあります。特に、病気や体力の衰えは、予期せぬタイミングで訪れることが多く、事前の準備が重要であることを示唆しています。
理想のリタイアプランは、早めの検討から
「引退」という言葉には、「完全に診療から離れる」というイメージが強いかもしれません。しかし、リタイアの形は様々です。エムスリーが支援した事例の中には、引退後に「起業」 、「趣味/貢献活動」 、「雇われ院長/勤務医として働く」 といった多様な道を辿られた先生方がいらっしゃいます。
例えば、65歳でリタイア後、地元で勤務医として働きつつ趣味の農業に没頭するY先生。70歳で完全引退し、譲渡資金を元手に別荘でセカンドライフを満喫されているI先生。あるいは、60歳で国境なき医師団に参加し、世界中で活躍されているK先生。55歳でリタイアし、譲渡資金を原資にヘルスケアビジネスを立ち上げたR先生 など、それぞれの「Happy Retirement」を実現されている先生もいます。
これらの事例からもわかるように、
「いつまで診療を続けたいか」 、「リタイア後に何をしたいか」 といった自身の想いを明確にし、それを実現するための準備を早めに始めることが、理想の引退への第一歩となります。
2. 開業医が「引退」時に直面する3つの課題
引退を決意した開業医の先生が直面する課題は多岐にわたります。ここでは、特に大きな3つの課題に焦点を当てて解説します。
課題1:高額な「閉院費用」と煩雑な「閉院手続き」
クリニックを閉院する場合、想像以上に多額の費用と手間がかかります。
- 従業員へ退職金などの支払い
- 賃貸契約の解約費用(原状回復費用、違約金など)
- 医療機器の処分費用
- 法律・会計手続き費用
- 税金関連の処理費用
- 患者への告知とデータ処理費用
閉院にかかる主な費用
これらの費用は、
1,000万円以上にもなる可能性があります。
また、閉院には多岐にわたる煩雑な手続きが必要です。主な手続きだけでも以下のようなものがあります:
- 行政手続き
- 保健所への「診療所廃止届」「診療用エックス線装置廃止届」提出
- 地方厚生局への「保険医療機関廃止届」「生活保護法指定医療機関廃止届」提出
- 税務署・都道府県への「個人事業の廃業届出」「給与支払事務所などの廃止届出書」「所得税の青色申告の取りやめ届出書」提出
- 年金事務所への「健康保険・労働厚生保険適用事務所全喪届」提出
- ハローワークへの「雇用保険適用事業所廃止届」「雇用保険被保険者資格喪失届」提出
- 医師会・医師国民健康保険組合の手続き(医師会退会届、資格喪失届など)
- 契約手続き
- 不動産賃貸借契約の解約、撤去・解体工事、修繕工事、設備工事
- 医療機器の廃棄(非感染性医療廃棄物、感染性医療廃棄物の処理、マニフェストの発行など)
- リースの解約手続き
- スタッフ・患者対応
- 閉院の告知・解雇、退職金の支払い
- 患者への閉院告知、紹介状の手配
- 閉院後対応
- カルテ、レントゲンフィルム・データ、エックス線測定結果、向精神薬処分の記録など、必要書類の長期保管
閉院にかかる主な費用:
このようにそれぞれに提出期限があり、準備書類が異なります。これら全てを先生ご自身で行うのは大きな負担となるでしょう。
課題2:「患者さんや従業員への責任」という重圧
長年地域医療を支えてきた先生方にとって、閉院は「患者さんや従業員への責任」という重圧を伴います。
- 患者さんへの影響
閉院によって患者さんは新たなクリニックを探す必要があり、特に高齢の患者さんや慢性疾患を抱える患者さんにとっては大きな負担となります。長年通ってくださった患者さんへの申し訳なさや、地域医療から撤退することへの葛藤を抱える先生も少なくありません。 - 従業員への影響:
閉院は従業員の雇用を失うことにも繋がります。長年共にクリニックを支えてきたスタッフの生活を考えると、安易に閉院という選択はできないと考える先生も多いでしょう。
これらの心理的負担は、経済的な負担以上に先生方を悩ませる要因となります。
課題3:「引退後の生活資金」への不安
閉院にかかる費用に加え、引退後の生活資金への不安も大きな課題です。特に、退職金制度のない個人事業主である開業医の場合、自ら老後資金を準備する必要があります。閉院によって多額の出費が発生すると、その分、老後資金が減少してしまうことになります。
閉院は、経済的にマイナスからのスタートとなる可能性があり、充実したセカンドライフを送る上で大きな足かせとなる恐れがあるのです。
3. 開業医の引退をスムーズにする「医院継承」という選択肢
上記のような閉院時の課題を解決し、理想の引退を実現するための有効な選択肢が「医院継承」です。医院継承とは、ご自身のクリニックを第三者の医師に引き継ぐことを指します。
医院継承の3つの大きなメリット
医院継承には、閉院にはない、開業医の先生方にとって非常に大きなメリットがあります。
- メリット1
経済的なメリットが大きい(老後資金の維持または増加)
閉院の場合、前述の通り多額の費用が発生し、老後資金が減少する可能性があります。しかし、医院継承(譲渡)の場合、
クリニックを譲渡することで譲渡金を得られるため、手元に多くの資産を残してリタイアすることが可能になります。
エムスリーの事例では、
一般的に閉院で1,200万円ほどの出費があるのに対し、医院譲渡では1,900万円ほどの利益を得られます。(東京・内科の例)。これは、閉院時の費用を削減できるだけでなく、譲渡によって新たな収入が得られるため、経済的に優位な状態でリタイアできることを意味します。
譲渡価格は、譲渡対象資産に加えて「営業権」が加算されて算定されます。営業権は、現在の収益性、立地、診療科目、後継者の需要によって変動するため、高額な譲渡価格を実現できる可能性があります。
- メリット2
閉院手続きの負担を大幅に減らせる
医院継承では、原則として内装や建物、医療機器などをそのまま引き継ぐため、
クリニックの原状回復や医療機器の処分といった手間やコストが不要になります。また、煩雑な行政手続きや契約手続きについても、継承仲介の専門家からサポートを受けられるため、先生ご自身の負担を大幅に軽減することができます。
- メリット3
患者さんや従業員の安心に繋がる(地域医療の維持・貢献)
医院が存続することで、
患者さんは引き続き同じ場所で通院を継続でき、長年築き上げてきた信頼関係も維持されます。また、
従業員も雇用が維持されるため、安心して働き続けることができます。これは、先生方が地域医療に貢献してきた証でもあり、引退後の満足度にも繋がる大きなメリットと言えるでしょう。
医院継承のデメリットと対策
医院継承には多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。
- 後継者探索に時間がかかる可能性がある
適切な後継者を見つけるには、時間と労力がかかる場合があります。特に、自力で後継者を探すのは容易ではありません。 - 譲渡まで現状の経営を維持する必要がある
譲渡価格を下げないためには、譲渡が完了するまでクリニックの経営状況を良好に保つ必要があります。
これらのデメリットを解消するためには、
専門のアドバイザーに相談し、早期に行動を開始することが重要です。
4. 理想の引退をサポートする「エムスリー医院継承サービス」
エムスリー医院継承サービスは、開業医の先生方が理想のリタイアを実現できるよう、包括的なサポートを提供しています。
エムスリー医院継承サービスの3つの利点
エムスリー医院継承サービスが選ばれる理由は、主に以下の3点にあります。
- 国内最大級の医師会員基盤により最適な譲受先を探索可能
エムスリーは、34万人以上(日本の医師の9割以上) m3.comを運営しています 。この圧倒的な医師会員基盤を活かし、先生のクリニックにとって最適な後継者(譲受希望者)を効率的に探索できます。
年間数千件の新規開業希望者からの相談実績があり 、m3.com上に掲載したり 、診療科目や年齢など貴院の属性に合った医師会員へ一斉にメール送信したりする など、多角的なアプローチで後継者を探します。
「他社で1年間募集してもトップ面談まで至らなかったが、エムスリーに相談したら半年間で4件の申し込みがあり、希望する譲渡価格で成約できた」といった事例 や、「募集開始から1ヶ月で約30件の申し込みがあり、希望譲渡価格から一切値下げすることなく契約に至った」という事例 もあり、短期間で多くの候補者と接点を持てる可能性が高まります。 - マッチングから譲渡契約の締結まで一貫したサポート
過去300件超の支援実績に基づくノウハウをもとにコンサルタントが、 、マッチングから譲渡契約の締結、さらには引退後のリタイアプランの検討まで、一貫して先生方をサポートします 。
急な継承が必要になったケースでも、初回相談から約6ヶ月で継承完了した事例 や、わずか2週間で候補者との面談を実現した事例 もあります。 - 秘密厳守での対応
医院継承は非常にデリケートな情報を含みます。エムスリーでは、先生の許諾なしに情報を外部に提供することは一切なく 、経験豊富な専門家が情報漏洩のリスクを徹底的に防ぎます 。譲渡を検討している段階から安心してご相談いただけます。
エムスリー医院継承サービスの実績
エムスリーはサービス開始以来、300件以上の譲渡を実現しています。
また、他社と比べて高額な評価額(譲渡価格)を実現したこともあります 。これは、国内最大級の医師ネットワークにより多くの需要を喚起できるため、売り手優位の状況を作り出しやすいからです 。
5. 今から始める理想の引退プラン:エムスリーにご相談ください
「まだ具体的な検討はしていないけれど、引退について少し気になる…」という先生も、ぜひエムスリーにご相談ください。漠然とした不安を解消し、先生にとって最適なリタイアプランを共に検討いたします。
まずはお問い合わせを!
お問い合わせいただくことで、以下の情報を得ることができます
- 想定譲渡価格 (直近の確定申告書や決算書をご準備いただくとスムーズです )
- 譲渡スケジュール
- 貴院のエリア・科目での「開業希望者数」
後継者の探し方、医院の譲渡価格、譲渡実現までにかかる期間など、どんなことでもお気軽にご相談ください。エムスリーのコンサルタントが、先生に最適なリタイアプランをご提案いたします。
早期相談の重要性
エムスリーでは、引退(勤務頻度を落とした執務継続含む)を検討される
2~3年前から余裕をもって準備を始めることをおすすめしています。
急な継承は、理想の形での継承が困難になることが多いです 。例えば、急病で継承を決意したが、後継者の選定を誤り、長年築き上げたクリニックの評判を落としてしまうケースも存在します 。このような後悔をしないためにも、できる限り早く行動に移されるのが望ましいです 。
まとめ
開業医の先生方にとって「引退」は、人生の大きな節目です。高齢化が進む中で、閉院という選択肢は、高額な費用と煩雑な手続き、そして患者さんや従業員への責任という重い課題を伴います。
しかし、「医院継承」という選択肢を選ぶことで、経済的なメリットを享受し、閉院に伴う負担を軽減しながら、長年地域医療に貢献してきたクリニックとスタッフ、そして患者さんを守ることができます。
エムスリー医院継承サービスは、国内最大級の医師ネットワークと、経験豊富なコンサルタントによる一貫したサポート、そして厳重な秘密保持体制で、先生方の理想の引退を強力に支援します。
「まだ早い」と思わずに、まずは一度、エムスリー医院継承サービスにご相談ください。先生の「Happy Retirement」の実現に向けて、共に最善の道を探しましょう。
エムスリー医院継承サービスは、m3.comが運営する、医療機関に特化したM&A支援サービスです。先生方の「理想のリタイア」を実現するために、以下の3つの利点でお力になります。
- 国内最大級の医師会員基盤により最適な譲受先の探索を実現可能
- マッチングから譲渡契約の締結まで一貫したサポートで医院継承の実現を支援
- 秘密厳守での対応で、医院継承の経験豊富な専門家が情報漏洩のリスクを防ぎます
「具体的な検討はまだ」という先生も、まずはお気軽にご相談ください。お問い合わせいただくことで、以下の情報が得られます。
- 貴院の「想定譲渡価格」
- 「譲渡スケジュール」
- 貴院のエリア・科目での「開業希望者数」
譲渡価格の簡易査定をご希望の方は、直近の確定申告書(個人事業の場合)または決算書(法人の場合)をお手元にご準備いただくと、よりスムーズにご案内できます。
先生方の長年のご功績と、地域医療への貢献に心より感謝申し上げます。その大切な医院を最高の形で引継ぎ、先生方の理想のセカンドライフを実現するために、エムスリー医院継承サービスが全力でサポートいたします。



