2016/06/16 スタッフ採用時の注意点
医院開業に向けて、スタッフを採用する場合は、一般的には下記のようなスケジュールで進んでいきます。 各項目での注意点を見ていきましょう。
スタッフ募集で、苦労するのは看護師の採用です。必要な看護師数は、外来患者数によって変わってきます。無床の内科クリニックで患者数が30人程度であれば、看護師は1人でよいでしょう。外来患者数が60~70人のレベルに達すると3人ほど必要になります。
看護師の採用計画は、遅くとも開業半年前からスタートすべきです。有力方法のひとつに、勤務している病院内の知り合いの看護師に声をかけるというものです。しかし、勤務病院の近くで開業する場合は、看護師を引き抜いたと悪評が立っても困ります。そこで、着目したいのが、出産育児や介護のために病院を一度退職して、そろそろ復帰したいと考えている潜在看護師です。そのような看護師は全国に数十万人いるといわれています。退職した看護師の情報は、勤務病院の婦長が把握している可能性があります。
そのようなコネクションを使わず、ゼロから募集する場合は、看護師向け媒体で求人募集広告を出す、ハローワークや看護学校に募集依頼するなどが、オーソドックスな方法です。こちらは有料ですが、最近では成果報酬型で採用に至らなければ費用が発生しない業者などもあります。
また、医療事務スタッフは、看護師に比べると応募が集まりやすい傾向にあります。条件が良ければ応募が殺到するため、看護師よりも後回ししても良いでしょう。
採用面接では面接用のチェックリストを用意しておき、基本事項をもらさず確認し合うとよいでしょう。「こんなはずではなかった」というトラブルがのちのち起きることがないようにしたいものです。
面接後に有望な人材がいれば内定通知を出し、雇用契約を結びましょう。その際、いつから就業するかという点は契約書で必ず確認してください。開業前にはスタッフの研修が必要なためです
雇用契約書
勤務時間、賃金、休日、休暇など基本的な労働条件を明記したものを契約時に取り交わします。
秘密保持誓約書
個人情報保護に関する誓約書。個人情報を他人に漏らしてはならないことを、医療職はもちろん、事務、受付スタッフとも文章でしっかり確認します。最近ではSNSへの投稿がきっかけで個人情報が漏れる事例が後を絶ちません。患者の病歴などは最も取り扱いに注意すべき個人情報であるという認識を徹底する必要があります。
就業規則
雇用契約書には盛り込めない細部の労働条件や服務規定を記載します。 また、院長の経営理念や院内ルールを記載することも有用です。院内ルールでは、例えば「高熱の患者は順番を飛ばして先に診察する」「患者様と呼ばない」など、院長がこだわりたい診察形式を明確にしておくとよいでしょう。
社会保険、雇用保険、労働保険、医師国保などの加入手続き、また雇用契約書や就業規則の作成などは、社会保険労務士に依頼するとよいでしょう。社会保険労務士は労働基準法や社会保険、年金などの専門知識を持っていて、医師が苦手とする人事総務関連の各種の事務処理を引き受けてくれます。