2012/02/17 価値観と経営戦略が道しるべ~経営戦略編~
昨冬発表された、勤務医と開業医の給与差。その発表基準(計算方法)に疑問を投じる声の筆頭は、開業したからこそ抱えることになる‘精神的なストレス’をどうみるかです。(医療維新:勤務医と開業医の給与差「アンバランスではない」)
単純に数字ではかり知ることのできない、開業医への重圧、医院経営のむずかしさ。今回は、開業後の経営戦略の見直しをあえてクローズアップ。開業医の悩みからその対策について紐解いていきます。
勤務医時代に比べれば少しは時間に余裕ができた…しかし、患者さんが来なければ医院は成り立たない、というのは言うまでもありません。
継続的な安定経営の不安からか、やはりのこの悩みが半数以上を占め、スタッフの採用・雇用問題と続きます。
患者さんとのコミュニケーション、については少々幅広い括りとなりましたが、勤務医時代には想像もしていなかった、‘人と人とのやり取り’について、驚きや戸惑いをおぼえる先生も多いのかもしれません。
広告戦略やアピールポイントを見直してみる。集患がうまくいかない原因は多岐にわたっている為、どこに原因があるのか、早期に専門家に相談してみるのもお薦めです。
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開業後の診療圏調査と患者アンケートを実施したら、「ホームページを見て」来院した患者さんが一番多かった。 |
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ブログの延長であったホームページを専門会社に制作し直してもらい印象の良いものに変え、SEO対策も実施してもらった。 |
スタッフ個人の問題でない場合も…スタッフの雇用・勤務環境をつくり出すのはやはり院長。
院長とスタッフのコミニュケーションを積極的にはかる気持ちを大切に。
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長く勤めているリーダー的存在のスタッフがいたため、新人の教育はその人に一任していたがみな長続きしない。 |
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スタッフは‘自分が育てる’気持ちで、忙しくても(天気の話題など)スタッフに一声かけてコミュニケーションをはかるよう努めた。また面接時に「どんなスタッフでいてほしいか」ということを明確に提示した。 |
関係者や異業種の人の声に耳を傾けるなど、日頃から風通しのいい人間関係を築けるようにする。また、経営に関するアドバイスを的確にしてくれる身近な人がいるとよい。
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磁気付き診察券を使用していたところ、紛失される患者さんが多く、再発行手数料の件などでクレームになることが多かった |
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知人に相談し、周辺機器や保守料が高額な磁気付き診察券をやめ、手持ちの周辺機器で対応可能なカードにした。費用もあまりかからないので、お互いに精神的な負担が減った。 |
以上、大きく3つに分けて医院経営の悩みへの対策から、経営戦略の見直しをおこなうためのヒントをご紹介しました。
また、開業→経営と一口に言っても、その経年数や状況に応じて悩みの性質は大きく異なります。先に述べたもの以外では、
「患者が多すぎて納得のいく診療ができない」
「ここ数年患者数がほぼ一定で伸びていかない」
「そろそろ閉院したいが患者のことを考えるとやめられない」
「継承者がいない」
など… 患者さんが集まらないという悩みがあったかと思えば、今度は多すぎたなりの悩みも浮上、正直なところ‘これされクリアすればずっと安泰’という認識は捨てた方が良さそうです。ただ、まずはこういった意見をもとに、自院の地域の環境、診療方針、家族の意向などから医院の将来を具体化し、今できるところから経営戦略を見直すことは可能でしょう。
対・患者さん、対・経営実務…勤務医時代とは違って‘人間力’が問われる開業医。
これから幾度となく強いられる選択や思わぬトラブルへの対応など、これらを糧にしていく心構えこそが、経営戦略の原点なのかもしれません。
【アンケート概要】
対象 | : | m3.com医師会員 |
調査方法 | : | m3.com開業・経営コンシェルジュ登録医師会員向け3択アンケート(クイッククエスチョン) |
調査期間 | : | 2012年2月3日~9日 |
サンプル数 | : | 276件 |