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2012/02/03   価値観と経営戦略が道しるべ~価値観編~

クリニックIT化特集 第1回 価値観と経営戦略が道しるべ 2012~価値観編~

めまぐるしく移り変わる、医師を取り巻く環境。m3.comのアンケート調査によると、一昨年と昨年を比べて医療界を取り巻く環境どうだったか、という質問に対して、開業医の5割以上(51.9%)が「悪くなった」と回答、今年の展望についてはなんと7割(70.1%)が「悪くなる」と回答する結果となり、その将来を危惧する声があがっています。
この環境下において開業を志し、また経営の安定を保つには、一体どのような心構えが必要なのでしょうか----
多くの事例を見てきた専門家の意見をもとに、今回はその‘価値観’にスポットを当てて整理していきます。

なぜ開業するのか
グラフ:【勤務医の先生へ】
時間をつくりたい 勤務医の率直な気持ち

勤務医の労働が過酷であることは言及するまでもありません。やはり突然の呼び出しや夜勤・当直などに生活が左右されてしまうところが大きいのか、‘時間をつくるため’が4割近くを占めました。

しかし、勤務先への不安・ポスト不足 と 自身の診察方針についても比率に大きな差はなく、まずは自分でやりくりできる時間をつくってから、具体的にあれこれ考えたい、という勤務医の先生も少なくないのではないでしょうか。

では実際に開業し、これらはどのくらい現実化されているのでしょうか---開業医の先輩に聞いてみました。



グラフ:【開業医の先生へ】
時間より比重が大きいのは 自身の診療方針の追及

開業した先生の半数以上が、開業医の日常として「自分の診療方針の追及できている」を選択しました。
この結果は、経営・人事・労務など多方面に関与せねばならない分、自身の裁量を発揮することや責任を負うことに‘やり甲斐がある’と感じている開業医が多いことのあらわれだと解釈できます。

一方、確かに「時間ができた」と回答した開業医も3割強と、勤務医の先生の想像とほぼ合致した結果となりました。

 

開業すればその分、勤務医時代とは異なる業務もこなさなければなりません。
‘時間がある’という訳ではないけれど、夜勤や当直がない分自分の裁量でやりくりできる‘時間ができた’と、捉えることができるでしょう。今回は、動機を大きく3つに分けたためこのような結果になりました。しかし、各々の想像と現実の間に少なからずともギャップが生まれることは、安易に予測できます。このようなギャップをできるだけ少なくするためにはどのような心構えが必要なのでしょうか---専門家に伺いました。 教えて!専門家
<取材協力> 株式会社メディヴァンス 統括部長 西口昌裕 氏
自分(と家族)の時間

医院経営が順調になれば、日中の忙しさはほとんど変わらない。ただ、充実感がある。夜勤当直がなく、原則休診日は休みであるため、計画は立てやすい。

勤務先への不安・ポスト不足

開業しても、今後は軌道に乗るまでの‘経営上の’不安がつきまとう。ポスト不足からは開放されその性質は異なるものの、当初は勤務医時以上の不安があるのも事実。

自身の診察方針の追求

外来数が増えると、なかなか実現できない現実もある。しかし、外来数が増えれば経営的には安定する。こうした、外来数と診療方針のジレンマに直面する場面がある。

また、少数派ではあるものの「より多くの収入を得たい」との理由をあげる声もあるようです。これはやはりそう甘いものではなく、開業医はその収入から経費や(借り入れがある場合は)借金を支払うのであり、昨今は勝ち組・負け組がはっきり分かれてきているとのこと。
負け組にならないポイントはズバリ、自身の開業に対する価値観 を明確にしておくこと。
これが、このあと続く開業医人生を大きく左右することになるのです。

価値観を明確に するために また新年に際し、昨年から今年にかけて、特に話題になっている事柄についても意見を伺いました。 2012年話題のトピックス
Q1.2012年最も注目の診療報酬改定、クリニックへの影響は?

内容によって、また、科目によってかなり左右される面があります。
特に診療報酬の総額引下げとなれば、内容がはっきりするまで先生も様子見の態度に出ることが多いでしょう。
すでに解消されましたが、再診の逓減性を採用した時期、ある程度盛業している整形外科で 100万円/月の収入減少という事例がありました。

重点課題である勤務医の負担、医院開業に及ぼす影響は?

病院での医師一人一人の負担が大きくなり、それが動機となって開業を志す先生が増えています。
半面、病院では、開業を思い留まらせるたため、給与・ボーナスUPなどを実施する病院も少なくない。勤務条件が良くなれば、開業に踏みきる勤務医が少なくなるのは必然でしょう。

なかなか進まない医院のIT化、そろそろ突破口が開けてくる?

とは思いますが、‘カルテ’の電子化についてはなかなか踏み切れない先生が多いようです。データ移行などの手間が主な原因でしょう。
国は、「どこでもマイカルテ」のような考え方を打ち出してきていますが(在支診と一般診療所の連携など)、統一のコード体系もなく各メーカー任せというのでは…飛躍的に電子化が進むことは、現状では考え難いでしょう。

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開業の主役は先生、そして開業してからが本当の勝負

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【アンケート概要】

対象

m3.com医師会員

調査方法

m3.com開業・経営コンシェルジュ登録医師会員向け3択アンケート(クイッククエスチョン)

調査期間

2012年1月17日~19日

サンプル数

Graph1・・・408件   Graph2・・・ 272件

<次回予告>

次号は、今回の‘価値観’に続き‘経営戦略’の部分について、詳しくご紹介していきます。