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電子カルテ

2012/01/20   2012年 電子カルテ企業サポートの実際

本特集では第1回~3回まで、電子カルテ市場の現状とその製品にスポットをあててお届けしてきました。では、電子カルテ導入時及び導入後にスムーズに診療をおこなうためには、どのようなことに気をつければよいのでしょうか―――
最終回は、導入医師が思う 「導入にあたり考慮すべきこと」 とその結果の具体的な内容について、詳しくご紹介していきます。

導入時考慮すべきこと

昨今の、 iPad・スマートフォン等の普及がさけばれる中、「考慮すべきこと」の筆頭はサポート方法・体制という結果になりました。

これは、緊急時の対応はもちろん、実際の診療に支障をきたしては本末転倒、ちょっとしたハプニングにも慌てない体制を整えておきたいという、医師として当然の結果なのかもしれません。
サポート体制で選ばれたメーカ-TOP5を見る

<集計方法>獲得ポイント=[(考慮度合い選択)必須×4、考慮すべき×3、あまり考慮しなくてよい×2、全く考慮しなくてよい×1]÷n数

2. 導入後、円滑に診療をおこなうために
「考慮すべきこと」 筆頭の‘サポート方法・体制’。では、実際にメーカーからはどのようなサポートがおこなわれているのでしょうか。下記に、アンケート結果からピックアップしたサポート事例をご紹介いたします。
サポートの実際
富士通オンラインサポートでなく、DATA漏出が起こらないように、電話サポートでもうまく誘導してくれる
富士通 ・40代・麻酔科)
アイソル/アイネット・システムズ電話をすればリモートですぐに問題解決してくれるし、インストラクターも気軽にきてくれる。(アイソル/アイネット・システムズ・50代・脳神経外科)
ビー・エム・エル

ソフトの更新が素早くサポートも完璧 
サポート料も安い
ビー・エム・エル・40代・消化器内科)

ビー・エム・エルトラブル発生時にリモートでカルテに入り、操作して解決してくれる点と電話連絡での体制がきちんとしてつながりにくいことはない(ビー・エム・エル・50代・内科)
三洋電機

インストラクター多い
三洋電機・30代・消化器内科)

三洋電機

何度でも無料で指導してもらえた
三洋電機・60代・内科)

サポートに対する懸念事項として最も多くあげられたのは、トラブルが起きたときにいかに迅速に対応(修理・復旧)できるか、といった点で、診療が止まってしまうことへの不安や緊急時のシステム復旧に対する焦りなど、そのストレスは最小限にとどめておきたいとことろです。

また、いくらサポート体制が万全でも、普段の電子カルテの操作がうまくいかなければ、診療の効率化や緊急時の対策には繋がりません。電子カルテ導入時の懸念点として声があがることも多い、クリニックスタッフが電子カルテに慣れるためにはどうすればよいのか---- メーカーの取り組みをお聞きしました。
スタッフが電子カルテに慣れるために
多くのメーカーが導入時には講習をおこない、各クリニックの運用に則り実務にそった導入支援ができるように工夫しているようです。下記にメーカーの導入後支援についてご紹介いたします。
point
スキルUPサポート

講習会

毎月、『新規導入講習会』と、職員の交代時向けに患者登録や会計を中心に行う『初心者事務員様向け講習会』を実施しています。定期例会・勉強会や年に1回の全国大会では、各医院での便利な使い方などを発表する場もあります。(ダイナミクス

リハーサル

電子カルテの導入作業では運用設計に基づいてリハーサルを実施しますが、そのリハーサルに参加し、発生した問題点についてアドバイスを行います。現場に即した提案を行うことで本稼働時の運用がスムーズになります。
テクノプロジェクト

デモ患者を用意

「電子カルテに関してはデモ患者を用意して行ったトレーニングは、1日だけです。あとは運用しながら慣れていった感じですね。ただ、開院当初は空いている時間も多かったので、その間に気付いた点をスタッフやメディコム代理店のインストラクターと話しながら改善してきました。」(三洋電機<近畿地区ユーザーより>)
顔の見えるサポート

訪問指導/マンパワー

●販社ではなく開発元として自社で責任をもって揃えている自社インストラクターが、北は北海道から南は沖縄まで全国をくまなくカバー。稼動初日は当然のことながら、前後10日程度はクリニックに張り付いた上で、しっかりと導入準備・操作説明から採用薬や検査セット・コメントテンプレートの登録などを行っております。
ユヤマ)※インストラクターによるサポートは標準提供しております。


●ユーザー様との打ち合わせにより、当社あるいは地域の認定業者による訪問インストラクションもございます。
ダイナミクス


●他社レセコン・電子カルテからの入れ換えに関しては従来のレセコンからの患者属性・病名はもちろん、処方データについてもマンパワーでのデータ移行作業を行っています。(アイソル/アイネット・システムズ)

テレビ電話

遠隔地のお客様に対して、操作訓練や操作指導でテレビ会議システムを持ち込み、補完的に使用しました。テレビ会議で具体的なご質問に実機を使ってご説明することができました。お客様も現場をイメージした質問ができ、喜ばれております。(テクノプロジェクト)※ご利用は導入時のご契約内容によります。

早期解決サポート

リモート操作

電話でのサポートで解決が出来ないときはリモートで接続させていただき、ほとんど全て当日中のご回答をさせていただいております。(SJI

企業努力

●毎日、サポートデスクと営業部門・開発部門とが、情報共有を目的とした短いミーティングを行っています。お客様それぞれがどのような使い方をされているかを知ることで各部門がどのように行動するかを明確にしています。
テクノプロジェクト


●運用にあわせたマスタの作成を支援するだけではなく、システムを取り入れた場合の運用特性に着目した運用手法、マスタ作成法について、導入後も調整や応用ができるようにしております。(システムロード


●サポートデスクの担当者は、医療現場での経験を持っており、お客様と同じ目線で対応することを意識しています。(テクノプロジェクト

各社とも、クリニックに配慮した体制を整えるために、日々模索している様子が垣間見られました。

しかし電子カルテを運用するのは、あくまでクリニック側。
パソコンなしでは情報収集も困難になりつつある今日、スムーズな診療のためには、人とシステムの連携プレーは欠かせません。
そのためには、メーカー協力のもと、「電子カルテ操作も診療のうち」とスタッフが自覚をもって臨むことが、今後の‘クリニックと電子カルテの共存’の第一歩とも言えそうです。

4回にわたってお届けして参りました「2012年クリニック向け電子カルテ特集」、いかがでしたか。
多くのメーカーが注目し、参入しつつある分野ではあるものの、クリアすべき課題が山積みであることは周知の通りです。

しかし、本特集を見てもわかる通り、昨年~本年度にかけて、その動向はわずかながら変貌をみせています。 先に述べた、クラウド市場の拡大やiPadなどのタブレット端末・スマートフォンの活用、2011年4月に義務化された電子レセプト請求の影響など、多くの医師が導入に向けて所見を新たにしている様子がうかがえました。

また、内科を中心に開発が進められてきた電子カルテですが、メーカーの話では、診療科に見合った機能・形態が必要であることを、開発サイドも理解しつつあるようです。

サービスとしての医療(患者)、開発者の医療従事者への理解(スタッフ)、情報の一元化・ネットワークの共有(地域)、ITを軸にした新たな医療連携の構築・特有の疾患への対応(医療の未来)など、多くの有用性と可能性を、存分に秘めている電子カルテ。 医療のIT化と向き合い続ける開業医が、これからの電子カルテの発展を大きく左右する存在であることは、間違いなさそうです。

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【アンケート概要】
対象 : m3.com医師会員 開業医
調査方法 : m3.com医師会員向けインターネット・アンケート
調査期間 : 2011年10月23日~26日  サンプル数 :  500件