Vol.6 原状回復の費用は1000万円!?　廃院ではなく、利益を生む方法とは？

地域医療の継続のためにも廃院を防ぐ

まず、医院譲渡とはどのように行われますか？

現在、全国のクリニックは、歯科をのぞいて10万8000施設ほどあります。その中で院長が60歳以上で後継者がいないクリニックは、4割です。つまり全国で4万件ほどの医院が後継者もなく、廃院の危機にあります。

そのまま廃院になると、どうなるのでしょうか？

都市部であれば、最寄り駅でなくても、隣の駅には同じ科目のクリニックがある可能性があり、医療サービスを受けることはできます。しかし、地方では代わりとなるクリニックが近隣になく、公共交通機関では通えない距離になると、患者さんは医療サービスを受けられなくなります。そのため、後継者不足によるクリニックの廃業は、地域医療の崩壊につながりかねません。地域医療を維持するためにも、医院の継承は重要です。

どのようにクリニックの廃院を防ぎますか？

現在、開業を考えている医師の方もたくさんいらっしゃいます。そこで、エムスリーの医院継承サービスでは、開業希望の医師とのマッチングを行っています。

廃院には1000万円ほどの費用がかかるが、医院譲渡なら売却益も

そのような医院譲渡の事業を行っている会社はどれぐらいありますか？

医療継承事業の仲介やM&Aは、同業他社でも多くはなく十数社ほどかと思います。医院を引継ぐことができるのは医師だけであることから、M&Aの難易度が高く限られた業界となっています。その中でエムスリーは、手がける件数が多く業界最大級です。ただし、医院継承という業界はまだ黎明期です。これから多く先生に知ってもらえればより多くの実例が生まれてくるでしょう。
なぜなら、医院継承には、経営者の先生も気づいていない価値があるからです。まず、廃院には、1000万円ほどの費用がかかります。医療機器の処分、先生や職員、看護師の退職金、賃貸の原状回復費用などですね。
逆に、患者さんがきっちりついて、利益が出ているクリニックを譲渡すると、営業権という売却益が出ます。経済的なメリットが大きいです。費用がかからず、後継者に医院を渡すことで手元に資産を残しリタイアができる。先生が作った医院には、大きな価値があるのです。

廃院ではなく、譲渡へと考え方を変えると、マイナスからプラスに変わりますね。

メリットはそれだけではありません。患者さんも同じ地域、同じ病院で医療を受けることができます。スタッフも同じ医院で働き続けられます。クリニックは、製薬会社や卸など、いろいろな取引先があり、その関係も継続できるんです。売手の先生も、患者さんも、スタッフも、取引先もハッピーです。

医院継承は、クリニックを経営している先生方もまだ知らない選択肢かと思います。今後、医院継承市場は大きく拡大し、医院継承という選択も一般化していくでしょう。「医院継承について知りたい」「継承してみたいがよくわからない」「私の医院も継承はできるのだろうか？」などの問い合わせも実際にあります。お悩みのことがございましたらいつでもエムスリーのコンサルタントにご相談ください。

【プロフィール】

村田 耕平氏　エムスリー株式会社　医院継承チームリーダー

ヘルスケア専門のコンサルティング会社にて、医療機関の運営・再生支援、自治体の医療計画策定支援、事業会社の戦略策定支援等に従事。その後、エムスリー株式会社にて医院の第三者継承支援に携わる。