2017/03/30 2016年 首都圏の医院開業状況
日本全国では、毎年5,000件以上の医院が新規で開業するとされています。それでは昨年の開業状況は、例年の傾向と変化がみられたのでしょうか。関東信越厚生局が毎月発表するデータをもとに、一都三県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)の2016年1月~12月までの開業状況をグラフにまとめました。
月別の医院開業件数をみると、4月から5月と、10月に増加します。4月から5月は大学医局の退局時期と重なるためで、10月は感染症の流行期を見据えた集患との関係と考えられます。「医院開業に適した時期とは」でもご紹介しましたが、この傾向は過去数年変わっていません。
厚生労働省所管の厚生局は全国に7つありますが、毎月、保険医療機関として新規で指定した医療機関の数を発表しています。”新規”と聞くと、いままでは存在しなかった医療機関が新しく開業=医院が純増して競争が厳しくなった、と認識をされる先生もいらっしゃるのではないでしょうか。ただ、この新規指定には、登録理由という項目があり、どのような理由で新規指定されたかが分かります。昨年の一都三県のその理由別に内訳をみてみましょう。
2016年の一都三県の登録理由の内訳をみると、「新規」は48.1%でした。実は半分以上が組織変更(医療法人化)や移転が理由で新規指定されており、純粋な新規開業ではありません。
それでは一都三県ではどのエリアで純粋な新規開業が多いのでしょうか。昨年のデータを見ると、東京都が純粋な新規開業数のうち56.3%を占め、圧倒的に多いことが分かりました。人口分布と比較すると、首都圏人口約3,600万人のうち東京都が占める割合は約38%のため、やはり東京都では競争が激しくなっているといえそうです。
それでは、もう都内は競争が激しいから新規開業は難しいと、諦めるべきなのでしょうか。実際の開業準備の際には、診療圏調査の一環で競合調査を行います。その際、医院運営はしていても、週に1回しか診療を行っていない医院が開業予定候補地の近くにあった時、先生はどう評価されるでしょうか。開業物件の選定には、正しい情報を把握したうえで臨むことが重要といえそうです。