2016/08/18 開業支援サービスと開業コンサルティングの違い
医院開業の準備を始めた先生の悩みとして、ご自身の開業に関して企業にサポートやコンサルティングを頼むべきか良く分からないといったものがあります。先生は多くの企業が提供している無料の開業支援サービスと有料の開業コンサルティングの違いをご存知でしょうか。今回は両社の違いと有効な活用法についてご紹介します。
開業の準備は、先輩からお話しを聞いて独力で行いたいご意向が強く「コンサルタントは不要」と考える先生もいらっしゃいます。ただ中には後で「頼むべきだった」と思ったり、開業してから経営アドバイスが欲しくなり、コンサルタントと契約する先生も多いようです。
医院を開業するには、資金調達、物件契約、医療機器、電子カルテ、人材採用、広告宣伝など、非常に多くの事項について検討しなければなりません。医療行為とは異なる領域を扱うため、先生方にとって初めての経験となり、また、膨大な時間も掛かることから、プロのサポートを活用する先生もいます。先生が充分に調べ、考えたつもりでいても、どこかに落とし穴が無いとはいえません。
例えばこのような見落としがないようチェックする医院開業にプロのサポートを活用することは有効といえます。
医院開業準備にあたっては、しばしば複数の検討すべき事項が同時進行し、そこに子供の教育や住宅購入、親の介護など、ご自身のライフプランもからんできます。ひとつの事項を進めると、自動的に他の条件が決定されてしまう場合もあります。たとえば「医療機器」を決めたら、設置やスペースの関係で、「建築・内装」の条件が決まるかもしれません。初めて医院開業される先生が、すべての事項の関係を把握するのは困難です。
そのため、医院開業の検討事項の相関関係を熟知した、経験値の高いプロの存在が欠かせません。プロに先生の開業準備の全容を把握してもらい、関係する事項で必要に応じてアドバイスを受けましょう。
プロのサポートといっても、無料の開業支援サービスもあれば、有料で応じる企業もあります。それらの違いはどこにあるのでしょうか。ただ依頼できる内容は、共通しており大きく分けて、代行とアドバイスです。
医院開業に関する代行とは
代行は、医院を開業するうえで必要な物件探しや診療圏調査などを代わりに行ってもらうことを指します。しかし、忙しいからと、賃貸契約などの重要な場面まで、すべてを依頼するのは避けるべきです。経営者としての自覚を持つためにも、重要な部分はご自身で行ったほうが良いでしょう。
医院開業に関するアドバイスとは
アドバイスは、先生の状況に応じてさまざまです。開業物件のチェックポイントなど具体的な知識から、やるべきことの整理や、先生自身の考え方の整理まで、多種多様になります。あらかじめ、ご自身が何を頼みたいのか、整理しておきましょう。
※ここでは、開業支援の無料提供を開業支援サービス、有料提供をコンサルタントと呼んでいます。
基本的に、無料の開業支援サービスは、ハウスメーカー、調剤薬局、クリニックモール、リース会社などが、その会社の商品の購入などを前提として提供しているサービスです。たとえば、「物件探し」のみ、「診療圏調査」のみ、といったように依頼できる範囲が限定されていることが多いですが、有料コンサルタントとほとんど変わらぬサービスを提供している場合もあります。
ただし、無料は軽い相談までで、それ以上を求めると有料サービスに切り替わることも少なくありません。そのため、最初に、商品購入などの条件と、無料範囲を確認することが大切です。複数の無料開業支援サービスに、それぞれが得意とする分野だけ依頼するのは、先生にとって有益な利用方法です。
無料の開業支援サービスには望みにくい、例えばビルなどの賃料の値下げ交渉や、開業後の経営サポートも頼みたいなら、有料のコンサルタントを利用しましょう。タイプとしては2種類あります。
ひとつは専業コンサルタント、もうひとつは医療経営に精通した会計士や税理士です。開業までの支援の料金は、手付金、半金、残金と3段階に分けて支払うスタイルから、開業時に一括で支払うスタイル、開業後に分割で支払うスタイルなど様々です。開業に関する業務の代行を全て頼んだ場合は、数百万円の費用がかかると言われています。
有料コンサルタントへの依頼は賃下げ交渉やアドバイスなど一部だけに限定すると、費用を抑えられます。契約書類や経営計画をプロの目で事前チェックしてもらうだけでなく、契約の際には聞き落としなどがないよう同行してもらうと安心できます。
開業後のコンサルティングに関しては、月々、顧問料を支払うスタイルが一般的です。