医院開業を取り巻く環境は年々厳しくなっており、開業後に黒字化して経営が軌道に乗るまでの時間は以前よりかかるようになっています。また、開業後数年、場合によってはわずか数カ月で閉院してしまうような事例も増えてきています。
開業にあたっては、この厳しい状況を踏まえた現実的な事業計画を立てる必要があります。
事業計画を独力で作成される先生もいらっしゃいますが、患者数の予測などは開業支援企業、開業コンサルタントの活用も選択肢の一つです。
開業支援・コンサルタント企業の活用
開業の支援を行っている企業は、ハウスメーカーや調剤薬局など様々なタイプがあります。タイプ別の特徴については特集「開業支援企業 タイプ別診断」でもご確認いただけます。これらの開業支援企業を活用するメリットとしては、数多くの先生の事例や全国の幅広いエリアの情報を持っていることが上げられます。各企業とも得意分野がありますので、任せるべき項目は任せることで他の準備に専念できます。
ご自身の目指す開業を実現するためには、どのようなタイプの開業支援企業が適しているのか判断できないという先生は、m3.com開業・経営コーディネーターにお気軽にご相談ください。
開業資金は物件の契約や医療機器の購入にかかる費用、開業後の運転資金などが含まれます。開業資金が自己資金で賄えない場合は、融資を受けることになりますが、どこからどのくらい調達するかはその後の経営を左右します。融資には多くの書類が必要になり、書類の作成は思った以上に時間がかかるものです。この辺の作業をご自身でなさるか、開業支援企業にサポートしてもらうかは先生のご判断になります。
主な資金調達元
公的金融機関
日本政策金融公庫などの政府系金融機関などが代表的です。中小企業の資金調達を主に行っていますが、開業医も利用可能です。公的金融機関は基本的に担保が必要になります。
自治体
開業する都道府県や市町村から開業資金の融資を受けられる場合があります。制度は自治体によって様々のため、開業を予定している自治体の制度を、良く調べておく必要があります。
銀行
複数の銀行が開業医の先生向けのローンプランを用意しています。新規開業だけでなく、開業後の設備資金・運転資金やそれらの資金の借り換えにも利用できます。
リース会社
リース会社からも資金の融資を受けることができます。こちらは無担保で借り入れが可能です。融資をうけるにはリース会社が持っている医療機器をリース契約することが条件になります。
医院をどの場所で開業するかが開業後の経営に直結するといっても過言ではありません。立地は十分に検討すべきです。多くの先生が来院患者数を算出する診療圏調査を行います。この調査結果は、そのまま過信するのではなく、参考指標の一つとして考えるべきでしょう。また物件の形態も複数の選択肢があります。
診療圏調査
開業(予定)地で、1日あたりどれくらいの来院患者数が見込めるかを算出する調査を「診療圏調査」といいます。 患者数は開業後の経営に直結するため開業地を判断するために重要です。多くの開業支援企業で調査を行うことができ、無料のケースもあります。事業計画を立案するためにも必要となります。
開業物件の形態
ビルテナント
複数の業種が入居するビルの一区画を賃借して開業する形態。人通りが多い駅前等に立地することが多く、通勤導線が重要視される。ビルが事務所仕様の場合、建築基準法の規定により診療所として用途変更が必要になり初期費用が増えるケースもある。
医療モール
複数の診療科目入居するビルで1フロアを賃借して開業する形態。来院患者は複数の診療科を受診することができます。患者は自宅に近い医療機関を利用する傾向にあるため、夜間人口(在住人口)が多いエリアを選ぶこともポイントです。駐車スペースが共有される点もメリットです。
戸建て
戸建を購入して開業する形態です。立地選択の自由度は高く、最初から設計できるため外装や内装に拘れるほか、駐車場なども確保しやすい点がメリットです。一方で多額の初期投資が必要となりますが、住宅街に開業すれば地域に根差した医院として住民への診療が可能となります。
戸建て(レント)
オーナーが所有する土地に、戸建を建築したうえで貸借して開業する形態です。内装や外装の設計においては戸建同様に意向を反映しやすいのですが、将来的な転用を含め長期的な視野での開業計画が重要となります。
継承(第三者継承)
すでに開業している医院を第三者として引き継いで開業する形態です。開業準備が短く、必要な運転資金も少ないうえ、既存の患者やスタッフを引き継げる点も大きい。一方で法務上、財務上のリスクも継承するため事前の調査が重要となる。
今回は開業1年前までに準備すべき項目をご紹介しましたがいかがでしたでしょうか?
この後は医療機器や電子カルテの導入、人材の募集・採用、ホームページをはじめとした集患施策などまだまだ準備するべきことがたくさんあります。すでに計画や資金、開業物件まで決定している先生も、開業に関するどんなお困りごともm3.com開業・経営コーディネーターがご対応させていただきますので、お気軽にご相談ください。