第三者継承の流れと期間
『リタイア時にまとまった資金が得られる』『地域医療が守られる』などのメリットがある「第三者継承」。実現させるためには、大きく分けて7つのステップを行う必要がございます。
医院継承(第三者継承)の実現までの7つの手順
①アドバイザーの選定
医院継承の成功には、ご自身の医院を譲り受けてくれる「後継者候補」(以下「買主」といいます)の探索が不可欠となります。その買主探索の役割を果たすのがアドバイザーです。アドバイザーを選ぶうえでは、“買主の探索能力が十分か”見極める必要があります。
また、医院継承には会計・税務・法務に関する専門的な知識も求められます。継承後に買主との間で争うことが無いよう、適切に対応できるアドバイザーを選ぶことも重要です。
②評価・案件化
確定申告書や決算書から事業価値の評価を行い、買主に対して提示する「希望譲渡価格」を決定します。同時に、医院の魅力を買主に最大限アピールするための「医院概要書」を作成します(これを案件化と呼びます)。
③買主への提案
買主への初期的な開示情報は、「ノンネーム」と呼ばれる医院を特定されない範囲での情報により行われます(下図参照)。買主が詳細情報の開示を希望する場合、アドバイザーと買主との間で秘密保持契約を締結してから、「医院概要書」による提案を行います。
④買主とのご面談、買主の見学
医院概要書を確認した買主様とのご面談や、買主様による譲渡医院の院内見学が行われます。買主様が重視するポイントは下記のようなものがあげられます。
⑤基本合意書の締結
基本合意書とは、医院概要書に記載された財務情報が正しいことを前提に、基本条件(譲渡価格、退職金支給額、引継期間中の報酬額、その他付随する資産売買の条件等)の合意を書面にしたものです。この後行う買収監査で、万が一財務情報等に誤りがあった場合、譲渡価格を修正する基準を定めます。同時に、買主に「単独交渉権」を付与します。これにより有効期間内は他者との間で医院継承に関する一切の交渉ができなくなります。
⑥買収監査の実施
買収監査では、基本合意書の前提となる財務情報が適正に作成されているか調査します。会計士等により、総勘定元帳、銀行通帳、各種契約書、人事・労務関連資料などをチェックし、簿外債務等潜在リスクの有無を確認します。同時に、継承後の運転資金必要額などもチェックします。
⑦最終契約締結、譲渡の実行
買収監査の結果を踏まえて、医院譲渡に関する最終契約書を締結します。一般的に、譲渡の実施は最終契約締結後1ヶ月以内に行う場合が多く、その間に必要な様々な手続を行う必要があります。最終契約書に定める譲渡日に、両者が必要な手続を行ったことを双方が確認し、譲渡を実行します。
医院継承(第三者継承)の実現までに必要な期間とは?
引退を考えられている2年前にご相談いただくことが理想的です。
一般的に
・ 後継者を見つけるまでに 3ヵ月~1年
・ (見つけてから)継承(引継ぎなど)が完了するまでに 3ヵ月~2年
の期間が必要だと言われております。
なお、継承の実現可能性を高めるためには、継承までの期間に余力を持つことが重要です。リタイア戦略として、「医院継承(第三者継承)」をご検討の医師は、お早めにご相談いただけると幸いです。