2017/01/26 セカンドステージを迎えたORCAの理念と展望
日本医師会の標準レセプトソフト「ORCA(オルカ)」は全国約16,000以上(2016年12月現在)の医療機関に導入されています。2015年11月からは、新しく設立された日本医師会ORCA管理機構株式会社が運営を担っていますが、新体制となったORCAの理念、今後の展望などについて、日本医師会の常任理事で同社の代表取締役会長である石川広己先生にお話しを伺いました。
石川広己先生(以下 石川先生)
2015年11月に日本医師会ORCA管理機構株式会社が設立されました。日医標準レセプトソフトORCA(オルカ:以下ORCA)はこれまで、日本医師会総合政策研究機構という研究機関が運営していましたが、同社の設立と同時に移管されています。
まずORCAは、日本医師会が2001年に行った 「日医 IT 化宣言」のプロジェクトの一環として生まれました。大きな目的の一つは、誰もが自由に利用できる医療情報ネットワークを形成し、日本の医療の発展に貢献すること。もう一つは、 医療現場の事務作業の効率化とコスト削減を目指すことです。
我々はレセプトコンピュータ(レセコン)は診療所や病院の必須アイテムと考えていますが、いまだ医療情報システムは高価です。誰が無償で使えるオープンソースを用いることで、導入や更新にかかる費用の負担を減らし、医師の皆様の強い味方になろうという狙いがありました。
ORCAは、この15年間にわたる紆余曲折のなかで、多くの先生方のご協力を得て、現在では全国16,000を超える医療機関に導入されています。この規模の巨大なソフトの開発や改良には、多大なコストがかかります。ORCAを一層発展させるために必要な投資を積極的に行えるよう、株式会社化したというわけです。
石川先生
新体制に移行したことで、負担が増えるのではないか?とご心配の先生もいらっしゃるかと思います。ただ、改めて強調したいことは、先生にはこれまでの延長線上で、安心して安価にお使いいただきたいということです。
レセコンは通常、2年に1度の診療報酬改定の際に更新が必要になります。開業医の先生の中には、このタイミングでの更新の手間や費用を負担にお感じになったケースも多いのではないでしょうか。ORCAは法改正に応じて常に新しいプログラムを提供していますので、この更新がスピーディーで、費用も非常に少ない点が大きなメリットです。
なぜ、このようなことが可能かというと、ORCAをレセプトエンジンとして電子カルテメーカーに提供する代わりに、費用の負担をお願いしているからです。ORCA対応の電子カルテメーカーは、現在では30社以上にまで増えました。一概に多ければ良いということではありませんが、対応している電子カルテの数が増えれば、先生によって選択肢が広がりますので、歓迎すべきことと考えています。
石川先生
ORCAは医療現場で活用できる各種ソフトとの連携している点が挙げられます。例えば、紹介状作成プログラム「MI_CAN(ミカン)」があります。これは、電子カルテに入っている検査データや画像を挿入した形で、簡単にPDFの紹介状が作成できるシステムです。
また、平成28年の診療報酬改定で、新たに電子的な診療情報の授受に加算がつくようになりました。これには、電子署名が必須ですが、手軽に電子署名を行える「SignedPDF Client ORCA (サインドPDF クライアント オルカ)」というソフトも提供しています。
さらに、連携している病院や訪問介護ステーションなどに安全性が担保された状態での情報の送信が要件として求められますが、これに対応した文書交換サービス「MEDPost(メドポスト)」も先日リリースしました。改正に則った算定要件をクリアしながら、手軽に、しかも安価に先生方が対応できるというツールが充実しています。
石川先生
一つはクラウド化です。いまはクラウドの時代ですから、データを先生のローカル環境ではなく、クラウド上に保管できるようにし、将来的にソフトもクラウドにあることで、価格をさらに安くできると考えています。クラウド化については、今年から一部の医療機関で実証実験を開始する予定です。
これから開業をする先生は、開業時のコストはできるだけ抑えたほうがよいでしょう。レセコンや電子カルテの導入、メンテナンスコストが重荷にならないような検討が必要です。クラウドへの対応はこれからですが、現状のORCAを導入しておけば、簡単にアップデート可能ですので、ORCAで院内のシステムを構築しておかれることをお勧めします。 今後も医療機関のIT化のコスト削減を支援することで、より高度なIT投資に費用をお使いいただけるよう、先生方に寄り添いながらORCAを発展させていきたいと考えています。
<取材協力>
公益社団法人 日本医師会
「ORCA」 と連携する電子カルテやクラウドサービスなどをご紹介します。 診察内容や検査結果、処置行為などを 「ORCA」 と連携することで、会計をスムーズにすることも可能です。この機会にお問い合わせいただき、ぜひ 「ORCA」 の魅力を体感してはいかがでしょうか。
「ORCA」連動により、充実した機能ながら、システム価格・サポート費の低価格化を実現。 院内検査機器との連携も柔軟に対応します。
開業時や経営の負担をできるだけ軽減し、多くの医師に利用してもらいたい想いから、低コストにこだわりました。 一般的な電子カルテと比較して、約260万円のコスト削減につながるケースもあります。
「クラウド」「iPad」「在宅医療」「地域医療」など、時代の流れにあわせて、進化し続けている拡張性の高いシステムです。
マルチプラットフォームに対応しており、サーバー設置型・クラウド型から選択。CR、CT、超音波診断装置、内視鏡、心電計等の各種モダリティ接続も可能。
インターネットへの接続環境があれば、『いつでも・どこでも、様々なデバイスから』電子カルテを操作でき、緊急を要する文書や、紹介状や処方箋などの書類を、インターネットFAXにて送信が可能。
手書き入力や画面タッチによる簡単・シンプルな操作で、堅牢なデータセンタで運用しヘルプデスクでリモートサポートする安全安心なサービスを提供。