2011/08/26 失敗しないためのIT機器導入
IT化を進めるということは、慣れ親しんだ日常業務のあり方が、大幅に変わることを意味します。だからこそクリニックのIT化は、それが本当にスムーズに行えるものかどうか、どうしても不安を感じてしまうもの。
そこでシリーズ最終回は、使って初めて見えてくる、「想定外なこと」に着目。実際にIT機器を活用しているクリニックの医師のアンケート結果から、導入してどのようなことに困ったか、率直な意見をお聞かせいただきました。またその結果を踏まえた上で、失敗しないためのヒントを探ってみました。
パソコントラブルはそれなりに、ある程度覚悟しておかなければいけないこと。(50代・内科)
電子カルテがフリーズしたこと。原因がわからず、こまった。サポートへ連絡し、1時間後に回復した。(50代・内科)
導入後のサポート体制がしっかりしているメーカーを選択するべき(40代・皮膚科)
すべて、業者まかせでなく、ある程度、コンピュータに強くなろう。説明書を一通り読もう。(60代・不明)
端末の処理スピードが遅いと、疲労の原因になりますので、PC本体や回線はなるべく処理が早いものを選んだ方が良い。(30代・耳鼻咽喉科)
慣れるまで時間がかかった(50代・内科)(50代・耳鼻咽喉科)(60代・内科)
絵がうまく描けない。(40代・耳鼻咽喉科)
慣れるまでが大変。しかし慣れてしまえばこんなに便利なものはない。(60代・眼科)
当然ながら、自分の診療にとって、最も使い勝手の良い機種を選択する(50代・耳鼻咽喉科)
絵がうまく描ける機種がいいと思う。(50代・耳鼻咽喉科)
ブラインドタッチができないとあまり意味が無い(50代・精神科)
電子機器なので落雷に弱いことがわかった(50代・消化器科)
停電には無力(40代・循環器科)
すべてをIT化する必要はない(50代・内科)
どこかにトラブルが生じるとどうしようもない状況になったりします。業者任せでなく、ある程度どのような仕組みで動いていて、トラブルが生じた際にどのような対応をするか知っておくべき。開発スピードは業者によってかなり違う。初期投資費用や維持費が安くても使えないのでは話にならない。(40代・眼科)
時間の短縮にならない(50代・循環器内科)
表示が遅い(30代・内科)
システムに業務をあわせた方が楽(40代・脳神経外科)
院内LANの高速化が望ましい サーバーのバックアップは必ず行う(30代・耳鼻咽喉科)
メンテ料が意外に高い(40代・神経内科)
ランニングコストが思ったよりかかる。(50代・内科)
機器の故障時や更新時の価格を聞いておくべきです。(40代・消化器内科科)
維持費に注目して(40代・呼吸器内科)
先に導入したCRと電子カルテがリンクしなかった。(50代・循環器科)
カスタマイズはあまり効かないこと(40代・内科)
途中からの切り替えはとても煩雑でさる。できれば新規の時から導入するのが良い。(40代・消化器外科)
利用方法の拡張性があること(50代・循環器科)
レセコン等、バックアップの担当者が直ぐに変わる。てきかくにこたえられるほどには精通していない。(50代・内科)
機器の不調の場合、自分で対応できない(60代・産婦人科)
フリーダイヤルで操作の説明をきけるかなどアフターケアをしてくれるかを確かめておいたほうがいい。(30代・内分泌内科)
導入後のサポート体制がしっかりしているメーカーを選択するべき(40代・皮膚科)
職員がなれなかった(60代・消化器外科)
職員の年齢層が高く、IT機器への順応性に大きく個人差があり、操作をまったく理解できない者や「壊したらいけないので・・」と近寄らない者がいること。(60代・耳鼻咽喉科)
すでに導入している先生の実際の診療現場を見学させてもらうとよいでしょう。(40代・小児科)
IT機器の扱いには、慣れが必要。導入時期は、患者数が少ない夏期が良い。(40代・内科)
患者がカルテを凝視していて話を聞いていない(40代・小児アレルギー科)
混雑すると順番通りに進まない(40代・耳鼻咽喉科)
先ずは値段や大手で有ると言うことよりも患者数に見合った、また画像診断装置との整合性のある物をデモンストレーションさせてもらってから購入することが望ましい(40代・循環器科)
法律改正や保険点数、適応症追加、新薬に対する更新時間の遅延(40代・循環器科)
自分が何を求めているか?優先順位をつけて考えていくとよい。(40代・整形外科)
紙カルテのうようにすぐに書き込めなかったりするので、翌日のカルテのチェックと当日におカルテのチェックをこまめにすること。やりっぱなしでは管理がうまくいかない、かえって外来に時間がかかる恐れがあります。(60代・産婦人科)
※先駆者からのアドバイス=「Q.今後IT機器を導入する先生へのメッセージを」アンケート回答より抜粋
アンケートで指摘された、「困ったこと」「想定外だった」ことを整理してみると、まず筆頭に挙げられたのは「システム異常」、続いて「操作性が悪い」「停電・緊急時に困る」など、さまざまな内容が挙げられました。
院内業務の多くを、電子機器を用いて行うということは、同時に、ひとたび機器にトラブルが起きてしまった場合、あるいは停電などで動かなくなってしまった場合に、業務そのものがストップしてしまうデメリットも抱えることになります。過去の電子カルテ特集でも同じ指摘がありましたが、そのようなデメリットを最小限に抑えるためにも、メーカー側のサポート体制やシステムの補償が、たいへん重要になってくるでしょう。
また、新しいシステムに慣れるには多少なりとも時間が必要で、かえって業務の効率が悪くなってしまったと感じるケースもあるようです。
一方、慣れて使いこなせるようになると、業務は以前よりも遙かに効率的になり、「待ち時間の解消につながった」など、想定以上のメリットを強調する声もありました。
続いて、実際にIT機器を導入した先生に、自らの経験を踏まえながら、これから導入を検討している先生へのアドバイスを頂きました。IT機器の導入をよりスムーズに進め、日常業務を快適に行うために、経験者の生の声を、ぜひご参考にして下さい。
信頼できる営業担当者を選びましょう(50代・内科)
役立つ、よかったと思うことができるのは3年後からです。最初はしんどいばかりであることを覚悟しましょう。
(60代・内科)
ITはそれ自身では何も生み出さない。当初は、最低限かつ最安価でスタートすべき。(50代・循環器内科)
おもいきって導入してよかった(40代・内科)
多かった意見のうちトップに挙げられたのは、事前調査の大切さ。IT機器導入で業務が非効率になってしまっては本末転倒であり、まずはそれが自分にとって本当に使い勝手のよいシステムかどうか、予めしっかりと見極める必要があります。
とはいえ、クリニックによって診療スタイルはさまざまであり、抱える患者数や用いる検査機器にも違いがあるもの。自院に合うシステムを的確に選ぶためには、デモンストレーションを活用することも有効ですし、あるいはすでに導入しているクリニックに診療の現場を見せてもらうことも非常に参考になる、といったコメントが寄せられました。
一方で、電子機器である以上ある程度の不具合は覚悟しておいたほうがよい、という声も多く寄せられています。 多少のトラブルがあってもできるだけ滞りなく診療を続けるために、カギとなるのがメーカー側のアフターサービス。トラブル時の対応をタイムリーかつ的確に行ってくれるか、また医療に精通したスタッフがしっかりと対応してくれるのかなど、診療スタイルに合ったサポート体制まで、しっかりとチェックすることは不可欠と言えるでしょう。
IT機器導入のメリットは、院内だけに留まりません。最近は医療機関の機能分化が進められ、施設間の情報の共有・連携が不可欠な時代となりました。今後、地域医療の一端をしっかりと担っていくためにも、コミュニケーションツールとしてのIT技術が、ますます存在感を増すことは必至であり、IT機器を積極的に活用していくことは、将来のクリニック運営にもプラスになることは間違いなさそうです。
アイソル/アイネット・システムズ | ![]() |
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SJI | ![]() |
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エヌ・ティ・ティ エムイー | ![]() |
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三洋電機 | ![]() |
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シィ・エム・エス | ![]() |
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システムロード | ![]() |
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セコム医療システム | ![]() |
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ビー・エム・エル | ![]() |
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メディカルアイ | ![]() |
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ユニコン | ![]() |
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ユヤマ | ![]() |
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データホライゾン | ![]() |
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アイチケット | ![]() |
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イクオス | ![]() |
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東邦薬品 | ![]() |
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【アンケート概要】
対象 | : | 開業後3年以上経過した後、クリニック内でIT技術 |
調査方法 | : | m3.com医師会員向けインターネット・アンケート |
調査期間 | : | 2011年6月30日~7月1日 |
サンプル数 | : | 308件 |