特集記事アーカイブ

開業資金

2008/08/13   親に資金負担を頼む際の注意点は?

Q:開業資金の一部を親に負担してもらう予定ですが、何か注意すべき点はあるでしょうか?
ポイント
 
A 親から借りる(借入)の場合

    金銭消費貸借契約の締結

    返済計画表の作成
 
   
金銭の授受は、本人名義の金融機関の口座を経由させること

 
B 親からもらう(贈与)の場合

    親の将来発生する相続を考慮し、暦年贈与または相続時精算課税制度の有利な方を選択すること

 
解説
 
A 借入の場合

   開業資金の全てを自己資金で賄うケースは少なく、多くの場合、親からの借入、
   金融機関からの融資、リースの活用等の資金調達が必要となりますが、なかでも、
   親からの借入は、最も安心な借り入れ先として、資金調達が可能であれば、
   是非活用したいところです。

   ただし、親からの借入は、贈与税や相続税の問題に留意しなければなりません。
   借入にあたっては贈与とみなされないよう、金銭消費貸借契約を締結し、
   返済計画表を作成することが必要です。また、金銭の授受は、本人名義の金融機関
   の口座を経由させ、可能な限り返済計画表どおりの借入、返済の証拠を残しておくべ
   きです。

   また、借入の返済が終わるまでに、親が死亡した場合は、その残額は親の子に対する
   「貸付金」として相続財産になりますので注意が必要です。
  

 

 
B 贈与の場合

  親から開業資金の一部を贈与された場合、一定の額を超えると贈与税の対象となります。
  贈与の申告は(1)暦年贈与(2)相続時精算課税制度の二種類から選択できます。

  1.暦年贈与 

   一暦年毎(1月1日から12月31日)に110万円の基礎控除が認められています。
   仮に父から1千万円の金銭の贈与を受けた場合、231万円の贈与税が課されることになります。
   ここで、一暦年、110万円の基礎控除を使い、
   毎年110万円の贈与を10年かけて行なった場合は当初から1000万円の贈与があったとみなされ、
   上記と同じ231万円の贈与税が課される可能性があります。また、親が死亡した場合は、
   死亡前3年以内の暦年贈与にかかる贈与財産は、死亡時の親の相続財産に加算して
   相続税が計算されます。
   (但し、相続財産に加算された財産にかかる贈与税額は、相続税額から控除されま
     す。)

   2.相続時精算課税制度

   (1) 概要
   この制度は贈与時に贈与財産に対する贈与税を支払い、贈与者がなくなったときに
   その贈与財産の価額と相続等によって取得した財産の価額とを合計した金額を基に計算した
   相続税額から、既に支払った贈与税を控除することにより贈与税と相続税を通じた納税を
   する事ができる制度です。贈与者(親)は、贈与した年の1月1日で65歳以上、受贈者(子)は
   贈与した年の1月1日で20歳以上が適用対象者(対象者の要件は他にもあります)となり、
   贈与時の贈与税の額は贈与財産の価額の合計額から、複数年にわたり利用できる
   2500万円を控除した後の金額に一律20%の税率を乗じて算出します。

   (2) 贈与の選択について
   その選択は、受贈者である兄弟姉妹が各々、贈与者である父、母ごとに選択できるものとし、
   最初の贈与の際の届出により相続時まで本制度は継続して適用されます。
   そのため、父からの贈与は相続時精算課税制度による贈与を選択し、母からの贈与は暦年制度の
   贈与とすることは可能です。
   また、父母からの贈与をともに相続時精算課税制度の贈与を選択すればそれぞれ2,500万円、
   最大5,000万円まで非課税で生前に贈与を受けることができます。

   (3) 財産の種類、金額等の制限
   贈与財産の種類、金額、贈与回数には、制限が設けられていません。
   この制度において留意すべき点は、贈与時点では2,500万円までの贈与財産については
   贈与税が課されませんが、相続時には相続財産と過去の贈与財産を加算した金額に対して、
   相続税が課されるという点です。
   したがって、無税で移転できるというわけではなく、税金の支払を先延ばししてもらっているに
   過ぎません。
   銀行借入と比較すると、支払利息を払わなくても良いというメリットはあります。


   (4) 相続時精算課税制度による贈与の適用を受けるには、その贈与の年の翌年2月1日から
   3月15日までの間に贈与税の申告書にその適用を受ける旨その他の事項を記載した届出書を
   提出しなければなりません。この届出書の提出により、その贈与の年以降の年において
   その贈与者からの贈与については全て本制度による贈与となり、また、将来の相続時には
   本制度による贈与財産全てが相続財産に加算されます。一旦この制度の適用を受けますと
   その贈与者からの贈与については、二度と暦年贈与(110万円の基礎控除)に変更することができません。


   3.以上税務面での注意点を中心として解説しましたが、民法上での注意点もありますので、
      開業資金の贈与を受ける場合は、必ず専門家と相談の上行ってください。




河村 好夫 河村会計事務所/(有)エフピーネットワーク
 (大阪府中央区)

 河村 好夫




 1989年 河村会計事務所 設立

 1995年 有限会社エフピーネットワーク 設立

会計事務所一覧

先輩開業医への質問

先輩開業医への質問一覧
新着質問
更新日
スレッド名
総閲覧人数
21/03/01
2694
21/01/04
2299
20/12/19
1741
20/10/11
7265
20/09/27
4041
閲覧人数ランキング
順位
スレッド名
総閲覧人数