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クリニックの事務機器、選び方のポイントは

クリニックの開業において、事務系機器の選定は見落とされがちです。事務機器自体は直接的な収益を生むわけではないので、必要以上の費用をかけないことが望ましい反面、何気なく選んでしまった結果、気づけば多額の投資をしてしまうケースも。今回は、そんな事務機器類の選び方について解説します。

事務系機器の種類・契約方法

適切な機器を選ぶことで事務作業の効率化が図れ、人件費の削減ができたり、スタッフの労力を患者サービスに充てられたりするといったメリットもあります。そのため、単に価格だけでなく、機能や効率面も考慮して選定することが重要です。

以下では代表的な事務系機器とそれぞれの特徴を解説します。

電子カルテ

現在、新規開業する医師が紙カルテを使用することは少なく、電子カルテシステムの導入が一般的です。クリニック向けの電子カルテには以下の種類があります。

レセコンから派生したもの

電子カルテの中には、紙カルテ時代にレセプトだけをコンピューター化したレセコンをベースに、カルテ機能を追加したものもあります。初期のクリニック用電子カルテの多くはここから始まり、現在でも主流です。レセコン時代からの充実したサポート体制が期待できますが、その分コストが高くなる傾向があります。

臨床検査センター連動型

臨床検査センター連動型の電子カルテは、臨床検査会社が独自に開発し、検査データをオンラインで電子カルテに自動取り込みできる機能を持つものです。臨床検査とセットで契約すると割安な条件が提示される場合があります。ただし、電子カルテと臨床検査センターのデータ連携は規格が統一されていないため、契約前に双方に接続可能か確認することが必要です。

クラウド型

クラウド型は、データを院内サーバーではなく、電子カルテベンダーが管理するクラウド上の専用スペースに保管する方式です。バックアップ機能や訪問診療時の外出先での閲覧・入力が可能となります。ただし、カルテの保管義務はクリニックの管理者にあるため、外部委託しているからといって責任が免除されるわけではありません。費用や機能、使いやすさに加えて、データのセキュリティ対策や「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」への準拠を確認しましょう。

ソフトのみ販売しているもの

医師個人が独自に開発した電子カルテをソフトウェアとして販売していることもあります。開発者が医師自身であるため、医師の視点で使いやすいインターフェースが特徴です。ただし、ハードウェアの購入やカスタマイズ、サポート体制が不十分な場合が多く、パソコンに詳しい医師以外にはあまりおすすめできません。近年では、サポート付きで販売するベンダーも登場しています。

専用型システム

大手企業が最初から自院専用に開発するシステムで、大手医療法人のサテライトクリニックなどで導入されます。無床のクリニックで採用されるのは珍しい傾向にはあります。

電話機

電話機は大きく分けて、家庭用電話機とビジネスホンの2種類があります。家庭用は、1つの電話番号に電話機を接続するタイプで、ビジネスホンは主装置を設置し、複数の電話番号や電話機を同時に使用できます。予算に余裕があればビジネスホンが便利ですが、費用は数倍かかります。職員数が4〜6名程度であれば、家庭用電話機に子機やFAXを増設し、複数の番号を利用することで対応可能な場合もあります。

なお、「大手通信会社の代理店」を名乗る業者からの営業には一定の注意も必要です。不必要に高額なリース契約を結ばされるケースや詐欺被害も報告されており、やり取りには細心の注意を払いましょう。

コピー機・複合機

複合機は事務機器の中で最も費用がかかる機器の一つです。高機能なオフィス用複合機は本体だけで数百万円になることもあります。しかし、家庭用のプリンターでもコピー機能を備えたものがあり、速度は遅いものの代用可能です。また、型落ちのオフィス用複合機や中古品を活用することで、コストを大幅に削減できます。消耗品であるインクやトナー、コピー用紙のコストも無視できません。全体のコストを把握し、必要な機能や速度を見極めて選定しましょう。

レジスター

レジスターの価格は数万円から数百万円まで幅がありますが、保険診療の領収書は電子カルテから出力されるのが一般的です。自費診療にも対応可能な電子カルテを使用したり、手書きの領収書を用意したりすることで、レジスター自体の機能は最小限で済みます。重要なのは、金銭出納の記録を正確に行い、日々の現金管理や税務調査に備えることです。レジスターの機能よりも運用方法に重点を置きましょう。

タイムレコーダー

開業後に多いトラブルの一つが人事労務問題です。タイムレコーダーは給与計算や労務管理のトラブルを防ぐ有効なツールであり、それほど高価ではありません。残業時間の計算機能が付いたものを選ぶと良いでしょう。ただし、残業時間の端数処理や給与の締め日については、社会保険労務士と相談の上で決定し、職員に周知徹底することが重要です。また、不正が起きにくい場所に設置し、打刻のタイミングや昼休みの扱いを明確に定めて運用することが肝心です。

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