
医療機器のメンテナンス契約、院長が抑えておくべきポイントは
診療において重要な役割を果たす医療機器。その定期メンテナンスは、医療法的にも、医療的にも必要なものとなってきます。今回は医療機器のメンテナンスについて、院長が知っておくとよいポイントについて解説します。
医療機器のメンテナンス契約は必要か
医療法により、医療機器の安全管理義務がクリニックの管理者に課されています。複雑な医療機器を自院で保守管理するのは現実的ではなく、多くの場合、医療機器メーカーに依頼するのが一般的です。
万が一、機器の不具合で患者に被害が生じた場合、適切なメンテナンスを行っていたかどうかが管理者の注意義務を果たしていたかの判断材料となります。そのため、聴診器や血圧計のようなシンプルな器具は別として、業者とメンテナンス契約を締結して安全体制を整備しておくことは不可欠です。
メンテナンス契約に含まれるもの
メンテナンス契約の内容は会社によってさまざまで、同じメーカーでも複数の契約形態を提供しています。例えば、あるメーカーのCT装置の保守管理契約には以下のような種類があります。
- 消耗品を含む契約:管球交換などの消耗品代金も全て含まれる契約
- 作業費のみの契約:消耗品はクリニック負担とし、定期点検などの作業費用のみを対象とする契約
- リース契約に保守管理を含むもの:自社または系列会社のリースを利用することを条件に、リース契約内に保守管理が含まれる契約
これらの契約は費用も異なり、どの契約が最適かは機器の使用状況やクリニックの方針によって変わります。管球交換の頻度は事前に予測しづらいため、費用対効果を見極めるには慎重な検討が必要です。また、リース契約に保守管理が含まれる場合、保守費用の内訳が明確でないこともあるため、契約内容を十分に確認することが重要です。
メンテナンスの基礎知識
医療機器の中には「特定保守管理医療機器」と呼ばれる、専門的な知識と技能が必要とされるものがあります。その中でも、設置や組み立てに管理が必要な「設置管理医療機器」も存在します。これらの機器は、定められた方法で保守点検を行う義務があります。
保守点検には「日常点検」と「定期点検」、そして業者による「総合点検」があります。日常点検は使用者が毎回行う簡単な動作確認や清掃であり、定期点検は半年ごとに行う詳細なチェックです。総合点検は、業者が専用の検査機器を用いて行うもので、少なくとも年に一度の実施が推奨されています。点検項目は医療機器メーカーによって定められており、適切な点検を行うことで機器の安全性を維持できます。
保守管理費用を抑えるコツ
一般的に、保守管理は機器の製造メーカーに依頼しますが、他の選択肢も存在します。同種の機器を扱う他メーカーや医療機器ディーラー、中古機器ディーラーなど、医療機器製造販売業の許可を持つ業者に保守管理を委託できる場合があります。
ただし、機器の種類や業者の許可範囲によって、依頼できる内容や品質が異なることもある点には注意が必要です。費用を抑えつつ適切な保守管理を受けるためには、複数の業者から見積もりを取り、契約内容を比較検討するとよいでしょう。