
クリニックの工事費用、どう抑える?コストダウンの方法
クリニック開業を考える医師にとって、工事費用は最も大きな初期投資の一つです。特に内装工事は、40坪のクリニックで約2,800万円(坪単価70万円)が相場とされていますが、こだわりによってはこれを大きく超えることも。本記事では、クリニック開業における工事費用の実態と効果的なコストカット方法について解説します。
クリニック開業に必要な費用の全体像
クリニック開業には内装工事以外にも多くの費用がかかります。40坪のクリニックを例にすると、初期投資は7,000万円を超えるケースが一般的です。以下の表で費用内訳を詳しく見ていきましょう。
費用項目 | 金額 | 内訳・計算方法 |
賃貸借契約関連 | 960万円 | 2万円/坪 × 40坪 × 12ヶ月 |
設計施工(内装工事) | 2,800万円 | 70万円/坪 × 40坪 |
医療機器・電子カルテ | 1,200万円 | X線、CR、エコー、POCT、電子カルテなど |
運転資金 | 2,000万円 | 販管費6ヶ月分 + 院長の生活費 |
合計 | 約7,000万円+α |
これらの費用は診療科目や立地条件、内装のグレードによっても変動しますが、この中でも特に内装工事費は院長のこだわりによって大きく変わる傾向があります。また、医療機器についても、必要な設備は診療科目によって異なります。
内装工事費用を効果的に抑える方法
内装工事費用は「坪単価×坪数」で計算されます。
坪数は変更が難しいため、坪単価を下げることがコストカットの鍵となります。そのうえで重要なのは、「こだわりがある箇所」と「こだわりの少ない箇所」を明らかにすることです。
クリニックのコンセプトと関わるような譲れない部分はあると思いますが、例えば、診察室とバックヤード間の間仕切りを壁からカーテンに変えるだけで費用削減につながります。カーテンの間仕切りは壁に比べてお互いの会話が筒抜けになりプライベートが確保できないといった心配もありますが、院長先生ご自身のこだわりと、患者さん目線の意見をすり合わせ、許容できるかを細かく判断していくことが内装工事のコスト削減につながります。院長自身は心配していても、患者にとってはそれほど気にならないような設備も多いため、こだわりの優先順位をつけることが重要ですし、「患者から見える部分と見えない部分でグレードを変える」といった工夫も効果的です。
専門知識の重要性とコンサルタントの活用
こうした建設・内装に関する交渉ノウハウを「知っているか否か」でコストが大きく変わることがあります。
ただ、知識として持っていても、いざ業者と打ち合わせとなると上手く言語化できず、結局高い費用を支払ってしまうケースも少なくありません。不安の大きい方は、開業コンサルタントをはじめ、専門知識を持ったパートナーを活用を検討してみるのも良いでしょう。
DX導入によるコストカットの可能性
ちなみに工事設備の話題とは異なりますが、DX(デジタルトランスフォーメーション)を導入することで、初期費用だけでなく運用コストも削減できる可能性があります。
電子カルテ、オンライン予約システム、決済システムなどを個別に導入すると初期費用が膨らみますが、パッケージ化されたシステムを一括導入することで数百万円のコスト削減が可能です。例えば、それぞれのツールの初期費用が30万円だとすると個別導入で90万円かかるところ、パッケージ化されたシステムだと40万円程度で導入できる可能性があります。
内装、ツール、医療機器はそれぞれが深く関わっているため、個別に考えるよりも一元でサポートできるコンサルタントに交渉を依頼する方が、最終的に費用を抑えられる可能性が高まります。
まとめ:賢いクリニック開業のために
クリニック開業は大きな投資を伴いますが、適切な知識と戦略があれば、工事費用を含む全体コストを大幅に削減することが可能です。内装や医療機器、ITツールなどを一元的に考え、全体最適を図りながら体制を作っていけると、コストはもちろんですが診療コンセプトにも一貫性を出しやすくなります。どこにこだわりを持つ部分を見極め、ある程度はメリハリをつける気持ちで、理想のクリニックづくりを実現しましょう。