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クリニックの動線を整える「院内サイン」のポイント

クリニックで患者さんが迷ってしまったり、外来室や処置室を間違えてしまうと、その患者さんを誘導するための人出が必要になりますし、待合室が込み合ってしまうことも。こうした課題を解決するのが、医療機関に何気なくおかれている「院内サイン」です。クリニックを開業する上でも、患者動線をどうつくり、それにしたがって動いてもらうかは重要なポイント。そんな「院内サイン」について今回は解説します。

院内サインとは?

院内サインとは、クリニック内の案内や誘導を目的とした案内標識です。院内サインの例としては、受付や診察室の案内板、トイレの位置を示す表示、各種注意喚起のピクトグラムなどが挙げられます。これらのサインは、患者さんなどの来訪者がクリニック内を迷わずに移動し、必要な情報を得る上で重要な役割を果たします。

院内サインの重要性

院内サインは、患者さんの利便性向上とクリニックの運営効率化の両面において重要です。適切に設計された院内サインは、患者さんの不安や混乱を軽減でき、スムーズに院内を移動してもらえるようになります。

特に初めて来院する患者さんにとって、分かりやすい案内表示は安心感につながるでしょう。例えば、入口から受付、待合室、診察室への動線を明確に示すことで、患者さんは目的地に行くにはどのように進めば良いかがわかります。

加えて、効果的な院内サインは、スタッフの業務効率化にも寄与します。院内の案内に関する患者さんからの問い合わせが減ることで、スタッフは本来の医療業務に集中できるようになります。

また、緊急時の避難経路を示すサインは、安全管理の観点からも重要です。

院内サインの種類と設置場所

院内サインは、その目的や設置場所によって複数の種類に分類されます。院内サインの種類としては以下の4つがあります。

  • 方向指示サイン
  • 位置表示サイン
  • 注意喚起サイン
  • 案内マップ

方向指示サインは、主に廊下や分岐点に設置し、各施設への方向を示します。位置表示サインは、診察室や検査室の入口に設置し、その場所が何であるかを明示するものです。注意喚起サインは、静粛を促す表示や立ち入り禁止区域の表示など、行動の制限や注意を促すために使用されます。

案内マップは、クリニック全体の配置を俯瞰的に示すもので、通常エントランスや待合室に設置します。各サインの設置場所は、患者さんの動線を考慮して決定することが重要です。例えば、エレベーターホールや階段の近くには必ず方向指示サインを設置し、トイレの位置は複数箇所から視認できるようにするといった配慮が必要です。

院内サイン制作の注意点

視認性と読みやすさに欠けたデザインにならないようにする

院内サインのデザインでは、視認性と読みやすさが最も重要です。文字の大きさ、フォント、色使い、コントラストなどを適切に設計し、誰もが瞬時に理解できるサインにしましょう。高齢者や視覚障害のある方にも配慮し、文字サイズは十分に大きくし、背景とのコントラストを強くすることが大切です。

また、緊急時の避難経路を示すサインには、赤や黄色など目立つ色を使用し、背景色とのコントラストを強くしましょう。一方で、通常の案内サインには、クリニックの基調色を用いつつ、文字色を濃くするなど、控えめなデザインが好ましいです。サインの内容をより直感的に理解をしてもらうには、ピクトグラムの使用も効果的です。

外国人の方でもわかるよう、日本語・英語を基本とし、地域特性に応じてその他の言語の追加も検討しましょう。

設置場所と高さ・角度が最適化されるようにする

サインの設置場所と高さ・角度はその効果を左右するため、患者さんの動線や視線の高さを考慮し、適切な位置に設置することが求められます。例えば、壁面に取り付けるサインの高さは、一般的に床から1.5m前後が推奨されます。これは、車椅子の方や子どもでも無理なく見える高さです。

天井からつり下げるサインは、廊下の突き当たりや分岐点など、遠くからも視認できる場所に設置しましょう。この際、歩行の妨げにならない高さを確保しつつ、照明などの設備と干渉しないよう注意が必要です。また、蛍光灯や窓からの光の反射を考慮し、適切な角度で設置することで、どの方向からも読みやすいサインを実現できます。

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