2012/04/27 ‘初回面談’活用術
医院開業にあたっては、よりよい物件の選択、資金計画等々、医療以外のさまざまなことについていかに適切な判断をしていくかが重要なポイントです。
そのカギとなるのは、周囲との良好なコミュニケーション。企業の担当者と直接会って情報を得る「面談」は、重要なプロセスです。
今回は、面談とはどのような形で進むものなのか、その過程を具体的にシミュレーション。面談から始まる開業成功の秘訣に迫りました。
会う時間をわざわざ作るのは大変だから、情報を集めるだけならメールで済ませたい、と考えるのは、忙しい勤務医なら当然のこと。それでも面談をおこなうことに、どのようなメリットがあるのでしょうか---
それは、自らが必要とする情報がピンポイントに得られること。時間のない勤務医であればなおのこと、面談は「欲しい情報にたどりつく早道」と言えるのです。
勤務医が開業を考えている場合を想定し、医院開業に精通した企業との初回面談の流れをシミュレーションしてみました。
ウェブ上からアクセスするか、メールや電話などでアポイントをとり、面談の日時をセッティングします。
ネックになるのは、多忙な中いかに時間をつくるか。勤務中でも合間の時間を利用できるよう、勤務先の近くにあるホテルのラウンジなどでおこなうこともあれば、医師の自宅など無理なく会える場所でおこなうこともあります。
「今回の面談で相談したいことは何か」を話すことから始まります。
「とにかく開業物件情報が欲しい」、「開業したいけれどまだ何も固まっていない」という、非常に漠然とした内容でも、最初はそれで十分。なぜなら、面談自体が「開業のイメージを膨らませていくプロセス」だからです。
メールでの情報収集との大きな違いは、ここからです。
例えば、開業物件に関する相談の場合、メールでも一通りの情報は伝わりますが、面談ではより詳しい情報とともに、なぜ気に入ったのか・どこに興味を持ったのか・その理由・こだわり、などにまで自然に話が及んでいきます。そのことにより、「どのような開業イメージを持っているか」あるいは、「どのような医療をおこないたいか」を、しっかりと相手に伝えることができる。結果として、本当に必要な情報を得るための“足がかり”をつくることができます。
「どこでもいいから物件情報が欲しい」という相談もありますが、やみくもに情報だけを集めるのは得策ではありません。エリアの選択は開業成功のための非常に重要なファクターだからです。
したがって、まずは開業のイメージに合わせてエリアを絞り込んでいきますが、全く土地勘がなく、地域性がつかめていない土地にいきなり開業するのは危険。
希望エリアがない場合には、自宅の近く、実家の近く、あるいは勤務地の近くなど、少しでも馴染みのあるエリアから、候補地を絞り込んでいきます。
開業時期はいつを想定しているのか、それまでにどのような段階を踏まなければならないか、開業に至るまでのステップがおおまかに紹介されます。
また、その過程で企業がどのようにサポートをおこなうかについても、詳しい説明を聞きます。
<取材協力>
三井ホーム株式会社
開発企画本部
大坪 浩二 氏
単なる一方的な問い合わせだけで終わらない---これが、面談の最大のメリット。自らが興味を持っていること以外にも、会話の中からさまざまな情報が得られると同時に、開業のイメージも自然に膨らみます。そして、そのイメージを担当者と共有することで、より希望に添った提案を引き出すことができるのです。
医師にとって開業は初めての経験。しかし、企業側は開業のサポートを何度も経験しており、ノウハウを持っています。担当者との良好なコミュニケーションは、開業を成功へと導く一つの手がかりとなることは、大いに期待できそうです。
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次回予告 |
第2回は、物件の絞り込みや資金計画など、開業に向けてのより具体的なプロセスへ。シミュレーションを通じて、さらなる面談活用のポイントを整理していきます。 |